ほめてほめてほめ倒して効率アップ
小さなことでも毎日ほめ続ける
「自分はほめられて伸びるタイプなんで!」という言葉は、最近、よく使われるようになりました。これは、心理学的にいっても大正解。もし、周囲に「仕事ができないダメなやつだなあ」と思う部下や仕事仲間がいたとしたら、叱ったり、責めたりしてはいけません。イライラして自分が疲れてしまうばかりで、何のプラス効果も生みません。仕事をしてほしい、がんばってほしい、成長してほしいと望むなら、何といってもほめることが得策なのです。「まとめてくれた資料がわかりやすくて助かるよ!」「細かな気配りをしてくれるのでみんなが喜んでいます!」など、小さなことでいいので、毎日とにかくほめ続けていくのです。
ほめられたほうは、自分が思っているより自分はデキるタイプなのではないかと思い、自尊心が生まれ、自分自身に期待をし、人からの高評価に自分を近づけようとします。これを心理学では自己成就予言と呼びます。
自分がほめられた時のことを思い出してみても、それによって自信につながったという経験があるでしょう。「かっこいいね!」「きれいだね」とよく言われる人は、自分でもまあまあイケてると感じているでしょうし、「運転が上手だね」と言われる人はドライビングテクニックに自信があるはずです。「仕事がていねいですね」と言われれば、それに応えるために雑な仕事はしないように努力するでしょう。
人は、ほめられればよい気分になり、お世辞だとわかっていてもさらに上を目指すようになります。そして、人ばかりでなく業務全体が上向きになっていくのです。
期待をかければ人は成果を上げる
前ページのような効果はアメリカの教育心理学者ローゼンタールの実験でも証明されています。実験は、ある小学校で行われました。生徒に知能テストを行い、教師には「この知能テストでどの生徒の成績がアップするかわかる」と伝えます。実は、このテストはそういったことがわかるものではないのですが、教師には成績アップする生徒を見つけるテストだと信用させました。そして、テスト後に無作為に生徒を選び出し、教師には「成績アップが望めるのはこの生徒」と伝えました。教師は、無作為に選ばれた生徒に大きな期待を寄せながら勉強を教えたところ、生徒も期待されていることを理解して勉強に励み、成績アップが実現したのです。このように、期待されていることに応えようとやる気を出し、成果を上げる心理をピグマリオン効果と呼びます。これとは逆に、期待されていない人は、期待されている人と比較すると成果が上がらないという現象もあり、ゴーレム効果と呼ばれます。デキる仲間と仕事をしたいなら、どんな相手でも期待することがベストな選択なのです。
すごい、すごいと言い続ければすごい人になる
教育にも効果的な心理学テクニック
「よくできました」
教師や両親から期待されることで成績が上がるのがピグマリオン効果。これは生徒、子どもの潜在能力の高い低いに関係ない。励ましの言葉をかけてあげよう。
ほめて伸びる子どもにはピグマリオン効果を
「いつもできないな!」
他者から期待されなかったり否定的な評価をすることによって成績が下がってしまうのがゴーレム効果。他からの影響で自分の能力を制限してしまうのである。
子どもを叱ってもかえって成績が下がることに
【出典】『相手の心が9割わかる 大人のブラック心理学』著:渋谷昌三
【書誌情報】
『相手の心が9割わかる 大人のブラック心理学』
著:渋谷昌三
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公開日:2024.12.26