肝機能が悪くなると血液は汚れてしまう【図解 血管・血液の話】
肝細胞から中性脂肪が血液へ
血液をドロドロにする要因の1つが「中性脂肪」であることはすでにお話ししましたが、その中性脂肪と深い繋がりのある病気が「脂肪肝」です。
中性脂肪は大切な代替エネルギーでもあります。食事で摂取した糖質は、肝臓でエネルギーとして使える形に変換され、各器官で消費されます。ただしすべてが使われるわけでなく、余ると中性脂肪となって内臓脂肪や皮下脂肪として蓄えられ、肝臓にも蓄えられます。そして糖が不足したとき、非常時のエネルギーとして使われるのです。糖の不足に備え、ある程度の中性脂肪は必要です。しかし、増えすぎると肥満や脂肪肝に繋がります。正常な肝臓の中性脂肪は3~5%。これ以上増えると徐々に肝機能が低下し、20%を超えた時点で脂肪肝は始まっていると考えてください。
肝臓に中性脂肪がたまると、肝細胞が炎症を起こして、たまった中性脂肪が血液へと流出します。血液の流れにのって中性脂肪があちこちに移動し、皮下に蓄積すると肥満を招きます。もっと恐ろしいのは中性脂肪が血液を汚し、血管を劣化させることです。中性脂肪が血液に溶け出すと、血液の粘度が高くなってドロドロになります。この血液の状態が、中性脂肪が高い人特有の「ザラザラタイプ」。脂肪肝の人の血液のほとんどは、この「ザラザラタイプ」です。そのまま放置すれば、遠からず動脈硬化へと発展してしまいます。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 血管・血液の話』
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 血管・血液の話』
著者:栗原 毅 栗原丈徳
著者プロフィール
栗原 毅:1951年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。前東京女子医科大学教授、前慶応義塾大学特任教授。現在は栗原クリニック東京・日本橋院長を務める。日本肝臓学会専門医。治療だけでなく予防にも力を入れている。血液サラサラの提唱者のひとり。
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日々の乱れた食生活や運動不足、肥満などをはじめ、さまざまな原因でドロドロになってしまう血液。「なんとなくダルい」「寝ても疲れが取れない」「むくみや冷えにずっと悩んでいる」などを感じている人は、血液の状態が悪くなっている可能性も。そのままの状態にしておくと動脈硬化になり脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めたり、血流が悪くなることで認知症などにも影響を及ぼすと言われています。人生100年時代と言われる昨今、大病せずに健康寿命を全うするためには、血液をサラサラに保っておくことが中高年以降は必須です。本書では肝臓専門医で『血液』の専門家でもある著者による、血管と強くして血液をサラサラに保つ簡単な方法をこれだけやっておけば大丈夫、という厳選したメソッドで紹介します。『血液をきれいにする歯磨き』『酢トマトを食べる』など誰でも簡単にできて効果絶大なものばかり。血圧、中性脂肪などが高い方をはじめ、いつまでも病気知らずで若々しくいたい方など、あらゆる人に読んでいただきたい一冊です。
公開日:2024.09.15