多くの赤ちゃんが睡眠不足です
賢い子が育つポイント
●赤ちゃんが睡眠を欲していることを多くの親が見落としています
●赤ちゃんの眠りのサインを見誤らないようにしましょう
●新生児には16時間以上、乳幼児には13〜15時間の睡眠が必要です
すやすや眠る赤ちゃんを愛らしいと思わない人はいないでしょう。かすかにほおを赤らめながら、ふわふわの毛布にくるまって眠る子どもの姿を見ると、胸がいっぱいになります。眠りに身をまかせる子どもは、人間がいかに無防備で、いかに繊細かを思いださせてくれます。そして、命を育み、養いたいという、心の一番深いところにある欲求を呼び起こします。汚れを知らない子どもの前でわたしたちは、謙虚な気持ちになると同時に、子どもを守る大人としての責任を感じることでしょう。近年、わたしたちひとりひとりは赤ちゃんが眠るのはよいことだと思っているのに、先の「NAPS メソッドをはじめましょう」(8ページ)でお話ししたように、わたしたちが暮らす文化のなかでは、赤ちゃんにたっぷり睡眠をとらせるのが難しくなっています。
子どもの睡眠障害は増えるばかりです。はじめて親になったたくさんの人々と接した経験からも、いつも睡眠不足の赤ちゃんが増えていることがわかっています。わたしの講座の受講者から聞いた話のなかには、赤ちゃんが1日に12時間、さらには10時間しか寝ないという例や、抱っこされたまま泣きつづけ、ようやくうとうとしてきたと思ったら、あっという間に昼寝が終わってしまうという例もありました。新生児は16時間以上眠らせるようにといわれていますから、10〜12時間ではかなり少ないといえるでしょう(詳しくは19ページと25ページの表を見てください)。また、赤ちゃんがまぶたを母親の肩にこすりつけているというのに、疲れきった母親は「うちの子は全然眠くならないみたいなんです」といいながら、赤ちゃんの顔の前でカラフルなおもちゃを振っているのを目にしたこともあります。こうした例からもわかるように、親の多くは、子どもが睡眠不足になっていることに気づいていないのです。
2005 年、アメリカ国立睡眠財団の委託により、4歳未満の子どもたちの睡眠習慣と行動について全国的な調査が行われました。生まれてからの1年は、月齢によって赤ちゃんが必要とする睡眠時間に変化が見られますが、睡眠財団の小児科特別委員会は、新生児の段階をすぎた赤ちゃんのほとんどが24時間中13〜15時間眠る必要があるといっています。
出典:賢い子は1歳までの眠りで決まる
【書誌情報】
『賢い子は1歳までの眠りで決まる』
ポリー・ムーア 著
睡眠を専門とするプロフェッショナルが考案、自分の子どもで実践し、さらに全米で実績を積んできた「NAPSメソッド」。これによって、子どもに良質な睡眠を与え、夜泣きを改善し、乳児期に学習能力を飛躍的に発達させることができます。メソッドの方法は非常に簡単で、子どもの睡眠を記録するだけというもの。生涯にわたって重要となる集中力、情緒の安定、コミュニケーション能力ものばす、本当に優秀な子を育てる育児書。子どもの睡眠障害を防ぐこともできます。
公開日:2022.08.01