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画像解析技術の進歩が顔認証のセキュリティを強化【AIとテクノロジーの話】

Text:三宅陽一郎

銀行も本格導入に踏み切った顔認証技術

パソコンやスマートフォンの普及により常時インターネットに接続しているのが当たり前となったことで、ハッキングやパスワード、個人情報の漏洩(ろうえい)などが問題となっています。そこで、本人の指紋や瞳の中の虹彩(こうさい)、顔写真など身体的特徴を利用した「生体認証」を採用するところが増えてきました。

 

中でも顔認証技術はライブのチケット購入や、みずほ銀行どのインターネットバンキングのログインで使用されています。指紋や虹彩とは異なり、専用の装置や利用者による特別な操作が不要であること、一般的に相手を判別するときに用いられるため心理的負担が少ないこと、IDカードなどとは違って貸し借りやなりすましなどの不正を防止できるといったメリットがあるからです。

これまでは照合時の顔の向き、表情、照明、眼鏡の有無などの違いにより、同一人物であると判断できないことがありました。しかし、ディープラーニングとAIによる画像認識技術を導入することで、顔認証の精度は飛躍的に高まったのです。

 

顔認証には、大きく分けて「顔の検出」と「顔の照合」の2つの処理が必要となります。顔の検出では、画像の中から顔の領域がどこにあるかを見つけて決定、目・鼻・口などの顔が持つ特徴点を検出して、それらがどこに位置しているかを判断します。そしてそれらの位置から顔の領域や大きさを判断します。次に膨大なデータベースの中から、似た特徴を持つ画像を検出し、顔の照合を行います。

 

顔認証技術の精度は高く、誤照合の確率は1割にも満たないほど。近い将来、買い物や飲食も「顔パス」で行えるようになるかもしれません。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 AIとテクノロジーの話』
監修:三宅陽一郎  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
ゲームAI開発者。京都大学で数学を専攻、大阪大学大学院理学研究科物理学修士課程、東京大学大学院工学系研究科博士課程を経て、人工知能研究の道へ。ゲームAI開発者としてデジタルゲームにおける人工知能技術の発展に従事。国際ゲーム開発者協会日本ゲームAI専門部会チェア、日本デジタルゲーム学会理事、芸術科学会理 事、人工知能学会編集委員 。


進化し続けるAI(人工知能)とテクノロジーにより「シンギュラリティ」は刻々と近づいている。ビッグデータ、IoT、ディープラーニングをはじめ注目の仮想通貨・ブロックチェーン・MRなど、知らないではすまされない最先端の技術革新と私たちの近い未来の「変わる生活」をについて、科学オンチにも身近で大切な話題を中心テーマにわかりやすく図解した一冊!

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