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AIが変えること 金融業【AIとテクノロジーの話】

Text:三宅陽一郎

AI同士が戦う証券市場

AIの導入が一層加速しているのが、金融業です。証券市場は1970年代半ばから売買取引のコンピューター化が進み、1999年には株券売買立会場は閉場、売買注文をつなぐ「場立ち」と呼ばれる人々は不要となりました。

 

そして現在、機関投資家の売買を人工知能に任せている証券会社もあります。例えば、野村證券はAIによる「AI株価予測システム」を導入し、銘柄ごとに5分後の株価の予測を出しています。

 

このシステムでは、教師データとして東証500銘柄の過去1年の株価の動きと売買取引の数を、1000分の1秒単位の変化で学習させています。これにより、膨大なデータから法則性を見つけ出し、現在から5分後の株価を予測させ、利ざやを狙うというものです。売買も人工知能が担当し、人が瞬(まばた)きをしている間に1000回近くの速さで取引を行うことができます。トレーダーは、AIが行う取引をじっと見つめているだけ。現在では他社も同様のシステムを導入しており、AI同士による戦いの様相を呈していています。そのため、どれだけ優秀なAIプログラムを導入できるかが、収益のカギを握っているといわれています。

 

このように、金融サービス(Finance)とAIや情報通信技術(ICT)などの技術(Technology)が融合した新しい動きを「フィンテック(FinTech)」といいます。SMBC日興証券は30分後の株価予測情報を提供したり、AIが個人投資家による売買の特徴などを分析し、売買のアドバイスをしたりするサービスを行うなど、証券市場全体がフィンテックにより活性化しています。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 AIとテクノロジーの話』
監修:三宅陽一郎  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
ゲームAI開発者。京都大学で数学を専攻、大阪大学大学院理学研究科物理学修士課程、東京大学大学院工学系研究科博士課程を経て、人工知能研究の道へ。ゲームAI開発者としてデジタルゲームにおける人工知能技術の発展に従事。国際ゲーム開発者協会日本ゲームAI専門部会チェア、日本デジタルゲーム学会理事、芸術科学会理 事、人工知能学会編集委員 。


進化し続けるAI(人工知能)とテクノロジーにより「シンギュラリティ」は刻々と近づいている。ビッグデータ、IoT、ディープラーニングをはじめ注目の仮想通貨・ブロックチェーン・MRなど、知らないではすまされない最先端の技術革新と私たちの近い未来の「変わる生活」をについて、科学オンチにも身近で大切な話題を中心テーマにわかりやすく図解した一冊!

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