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体のなかに常在菌がいるって、ホント?【微生物の話】

Text:山形洋平

人との良好関係にある微生物が抵抗力をつくる

微生物は、どこにでもいるわけですが、私たちの体もその例外ではありません。私たちの体には、たくさんの微生物が生きています。もちろん、皮膚、腹中、口中、鼻の穴、髪の毛などさまざまな場所にもいるわけです。

かなり乱暴な説明ですが、私たちの体は、竹輪(ちくわ)のような構造をしています。体の表面が竹輪の焼き目のついた部分で、竹輪の穴が口と肛門になります。本当の意味での体の内側は、竹輪の身に相当する部分で、それ以外は外側になります。

体の内側(竹輪の身に相当する部分)に微生物が侵入すると、病気になってしまうのに、体の外側(竹輪の表面と穴の表面)にはたくさんの微生物が存在しているのです。

健康な人のいつも同じような場所にコロニーと呼ばれる集団で暮らしていて、人と良い関係で共生している微生物を常在菌と呼んでいます。常在菌は多種多様で、棲息している体の部位、その人の年齢、性別、住んでいる場所、気候、生活習慣、などさまざまな要因によって変化します。それぞれの常在菌の集団は、たいてい数種類の微生物で構成されていますが、なかには、何十種類、何百種類もの微生物で集団を形成している場合もあります。

常在菌は、私たちに病気を引き起こすどころか、病気の原因となる微生物から体を守っていることもあります。赤ちゃんが母親の胎内にいるときは、無菌状態ですが、生まれてすぐに微生物とともに生活をすることになります。マウスの実験でこの無菌状態を保ったまま生育させると、通常より1.5倍ほど長生きできることが報告されています。ですが、無菌で生育させたマウスは免疫系の発達が未熟で、感染症に対して抵抗力が弱くなってしまうのです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 微生物の話』
著者:山形洋平  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1961年生まれ。東京農工大学農学部農芸化学科卒業。東北大学大学院農学研究科農芸化学専攻(博士課程後期)修了。東北大学農学部助手、東京農工大学共生科学研究院准教授、東京農工大学大学院農学研究院准教授を経て、現在は東京農工大学大学院農学研究院教授。農学博士。趣味は、醗酵食品の食べ歩きと醸造飲料の飲み歩き。


「微生物」は私たちの身の回りにあふれている! ウイルス、細菌(バクテリア)、菌類(酵母、カビ、キノコ等)など、とても小さく顕微鏡でなければ見えないけれど、私たちの生活のさまざまに関係、影響している。「ウイルスの正体は?」「毎日のように口にする味噌、醤油、酢などの調味料、またビール、ワイン、日本酒をつくる醗酵とは?」「私たちのお腹の中に棲む数百種類100兆個もの細菌の役割は?」———地球上に最初に誕生し、ヒトをはじめとするあらゆる生物の進化や暮らしに影響を与え続けてきた存在でありながら、まだまだ多くの謎や不思議に包まれいる「微生物」。その謎と不思議をわかりやすく図解で伝える。微生物のことがわかると、生活上のいろんな疑問もすべて納得、解決する!

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