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電磁調理器(IH調理器)が加熱するしくみは?/電磁誘導と誘導加熱【物理の話】

Text:長澤光晴

電磁誘導と誘導加熱

オール電化住宅や都市ガスの使用を制限される一部の高層集合住宅では、加熱調理に電磁調理器(IH調理器)が使われています。

ここでは電磁調理器が鍋を加熱するしくみについて考えましょう。

物質は外界からなんらかの影響を受けても、できるだけ元の状態を保とうとします。たとえば、自由に運動できる電子をたくさん持っている金属板に磁石を近づけた場合を考えましょう。このとき、磁石の強さに比例する磁束が金属板に侵入してきますが、金属は最初の磁束ゼロの状態をできるだけ保とうとする、というわけです。

電気と磁気には密接な関係があって、電流は磁石のような磁場を作ることができます。そのため金属は、外から磁束が入ろうとすると、自分の中に誘導電流(うず電流)を流すことで、その磁束と逆向きの磁束を作って打ち消そうとします。

この現象を電磁誘導と呼びます。

電気抵抗の大きな金属製の鍋に、電磁誘導によるうず電流で発熱させるのが電磁調理器です。このような発熱のさせ方を誘導加熱と呼びます。

実際の電磁調理器では永久磁石を使う代わりに、プレートの下にある電磁石に交流電流を流して、N極とS極を周期的に反転させています。鍋を直接熱するので、電気から熱エネルギーへの変換効率が高いことが特徴です。

電磁調理器には、商用周波数(50または60㎐)を使う低周波方式と、インバーターで発生させた20〜60㎑の周波数の交流電流を使う高周波方式があります。高周波方式には、市販の鉄ホーロー鍋やステンレス鍋のほかに、最近では銅やアルミ鍋が使えるオールメタルタイプなども販売されています。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 物理の話』
著者:長澤光晴  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1967年生まれ。東京理科大学理工学部物理学科卒業。北海道大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程修了。東京電機大学工学部基礎教育センター・工学部環境化学科准教授、フランス国立極低温研究所(CRTBT)客員研究員(2001年)を経て、現在は東京電機大学工学部自然科学系列・工学研究科物質工学専攻教授。博士(理学)。日本物理学会所属。著書に『面白いほどよくわかる物理』(日本文芸社)がある。


水洗トイレ・冷蔵庫からジェトコースター、スケート、虹、オーロラ、飛行機、人工衛星・GPSまで身の回りにある物や現象のしくみが面白いほどよくわかる!文系の人でも理解できるよう、とにかくわかりやすく、またとにかく図を使ってうまく説明しました! 本書で扱ったテーマは、身の回りにそれとなくある物や現象です。それらの仕組みを知らなくても生きてはいけますが、知っていればなかなか楽しく暮らしていける、そんなものばかりです。物理の醍醐味は、いろいろな現象を少数の法則や定理そして少しの仮定で取り扱うことができるところにあると思います。

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