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晴れた寒~い冬の朝、地面から霜柱が立つしくみとは?【物理の話】

Text:長澤光晴

放射冷却と毛細管現象の役割

冬の晴れた寒い朝、地面から霜柱が無数に生えているのを見かけます。この霜柱は、どのようにしてできるのでしょうか? これには、放射冷却と毛細管現象が深くかかわっています。

一見、冷たく見える0℃の物体でも、❶のように、

表面から赤外線と呼ばれる波長の光が、多く放射されています。地面から放射される赤外線は、上空に雲があると雲に反射されるなどして、再び地面へ戻ってきます。しかし、雲がないと宇宙空間へ行ったきりになります。

ですから、雲がないときには、光を放射した地面の温度は放射した光の持っていたエネルギーだけ冷えることになるのです。

このような、雲のない明け方に地上の空気がよく冷え込む現象を放射冷却と呼びます。

さて、ほどほどに湿った土の中には、霜柱をつくるのに適量の水や多くの水蒸気があります。地面の表面にある土が放射冷却によって冷え、0℃以下になると土の粒と粒の隙間にある水や水蒸気が凍って氷になります。

すると、地面付近では水や水蒸気が少なくなるので、地面より少し深いところにある水や水蒸気が、地面付近へ毛細管現象によって汲み上げられるようになります。この水や水蒸気も、霜柱の根元にくると冷やされて凍ってしまいます。この繰り返しによって、霜柱は根元から成長していきます。

霜柱の頭についた土は、放射冷却で霜柱全体をつねに冷やし続けて、霜柱を根元から成長させるという重要な役割も持っています。

霜柱は、土が乾燥し過ぎても濡れ過ぎてもできません。また、長く成長するためには、いろいろな大きさの粒がほどよく混じりあった土がいいようです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 物理の話』
著者:長澤光晴  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1967年生まれ。東京理科大学理工学部物理学科卒業。北海道大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程修了。東京電機大学工学部基礎教育センター・工学部環境化学科准教授、フランス国立極低温研究所(CRTBT)客員研究員(2001年)を経て、現在は東京電機大学工学部自然科学系列・工学研究科物質工学専攻教授。博士(理学)。日本物理学会所属。著書に『面白いほどよくわかる物理』(日本文芸社)がある。


水洗トイレ・冷蔵庫からジェトコースター、スケート、虹、オーロラ、飛行機、人工衛星・GPSまで身の回りにある物や現象のしくみが面白いほどよくわかる!文系の人でも理解できるよう、とにかくわかりやすく、またとにかく図を使ってうまく説明しました! 本書で扱ったテーマは、身の回りにそれとなくある物や現象です。それらの仕組みを知らなくても生きてはいけますが、知っていればなかなか楽しく暮らしていける、そんなものばかりです。物理の醍醐味は、いろいろな現象を少数の法則や定理そして少しの仮定で取り扱うことができるところにあると思います。

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