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酸素の運び屋、赤血球の役目とは?貧血はどうして起きるのか?【図解 病理学の話】

Text:志賀貢

怖い造血機能の低下による「再生不良性貧血について知ろう!

赤血球系の病気で多いのは「貧血」です。赤血球数やヘモグロビンが基準値よりも減少した状態の総称をいいます。

風邪と同じように軽く考えられがちですが、血液検査を受け、その原因をしっかりと見極める必要があります。貧血といっても原因によって、さまざまな種類の貧血があります。

「鉄欠乏性貧血」は赤血球の構成成分である鉄分とヘモクロビンが不足することでおこる貧血で、最も頻度の高い貧血です。

消化管の潰瘍、子宮筋腫やがんなどの出血、月経過多などによる鉄の排泄や食物からの摂取不足のために貯蔵鉄の不足がおこり、ヘモグロビン合成が障害されます。

「悪性貧血(巨赤芽球性貧血)」は、骨髄の分裂異常によっておこる巨赤芽球がみられるのが特徴で、ビタミンB12 や葉酸の不足により、赤血球の造血機能に悪影響がおこり発症します。その名の通り大きく未熟な赤血球(巨赤芽球)が認められます。

ほかにも、赤血球が寿命(3ヵ月)以前に破壊(溶血)された結果、貧血がおこる「溶血性貧血」、血液をつくる骨髄での造血機能そのものが低下して血球が減少する「再生不良性貧血」などがあります。

この貧血は難病に指定され、重症の場合は骨髄移植が行われます。

いろいろな疾患が原因となっておこる「続発性貧血」は2次性貧血ともいわれ、腎性貧血やがんなどの悪性腫瘍などによるものです。

一般的に貧血の症状としては、顔色が悪くなり、頭痛、耳鳴り、めまい、動悸、息切れ、疲れやすい、爪がもろくなるなどの症状がみられます。

赤血球とは

赤血球は幼若な血液細胞(赤芽球)のままでは骨髄から出られず、脱核して網赤血球になり、成熟して赤血球になって血液中に出る。

赤血球のおもな役目

肺で受け取った酸素を全身に運び、逆に不要な二酸化炭素を回収し、肺に戻し体外に出す。

運搬役を担うヘモグロビン

ヘモグロビンとは「ヘム」という物質と「グロビン」というタンパク質が結合した鉄タンパク質。酸素と結合するのはヘム。

赤血球中のヘモグロビンと酸素が結合して酸素運搬体となり、酸素や栄養分が体内に運ばれる。運ばれた酸素や栄養分は、生活のためのエネルギーとして使われる。

赤血球『眠れなくなるほど面白い 図解 病理学の話』

シリーズ累計250万部を突破した「図解シリーズ」の読みやすさ

図解シリーズは、文章と分かりやすい図で解説という形で構成されているので、本が苦手な人にも理解しやすい内容です。

ピロリ菌の感染源『眠れなくなるほど面白い 図解 病理学の話』

図解シリーズには、健康・実用だけではなく大人の学びなおしにピッタリな教養のテーマも満載。さくっと読めてしまうのに、しっかりとした専門家の知識を身につけることができるのが最大の魅力です!

気になる中身を少しだけご紹介!消化管のおもな病気と症状とは?

放っておくとがんになる炎症とポリープ

消化管とは、口腔から始まり食道、胃、小腸、大腸を経て肛門までの食物の通路のことをいいます。食道から胃までを上部消化管といい、食道にみられる病気で、近年増えているのが食道の粘膜が炎症をおこした「食道炎」です。その症状は、胸部の痛み、下障害(飲み込みにくい)、胸やけ、 香酸、などがあります。食道炎の中で多いのが「逆流性食道炎」で、これまでは高齢者に多くみられましたが、最近では若い人にも増えてきました。放置すると潰瘍に進行し、食道がんのリスクも高くなります。便秘が原因のひとつとされており、食生活にも注意が必要です。肝硬変患者の3大死因のひとつとなっているのが「食道静脈瘤」です(そのほかは肝がん、肝不全)。食道粘膜の下層にある静脈が太くなり瘤のようになった状態です。これは「門脈圧亢進症(もんみゃくあつこうしんしょう)」が原因となって発症します。「門脈」とは、腸で吸収された栄養素を肝臓に送り込む血管のことで、門脈を通して取り込んだ栄養は肝臓で処理されて全身に運ばれます。

しかし、肝硬変になると血液が流れにくくなり、それまで門脈を流れていた血液は、本来のルートからはずれて食道の血管を流れるようになります。食道への血流が多くなる結果、血管が船のようにふくれあがって食道静脈瘤になります。手当が遅れると瘤が破れ大出血してショック死をすることもある怖い病気です。胃の粘膜の炎症でおきる「胃炎」は、急性胃炎と慢性胃炎に分けられ、急性胃炎は喫煙、暴飲暴食、アルコール飲酒、ストレスが原因のものと、感染性(ブドウ球菌、アニサキス)があります。慢性胃炎はヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)、や加齢などの複数の因子が絡み合っているとされます。胃の粘膜にポリープができる「胃ポリープ」には、放置しても問題のない「胃底腺ポリープ」、比較的ピロリ菌が下人でなることが多い「過形成性ポリープ」、正常組織よりがんを発症しやすい前がん病変と考えられている「胃腺腫ポリープ」などがあります。

消化官のおもな病気

口腔

歯周病・口の中の腫瘍・嚥下障害など

食道

食道炎・食道静脈瘤など

胃炎・胃ポリープなど

十二指腸

十二指腸潰瘍・十二指腸炎

小腸

クローン病・小腸腫瘍など

大腸

大腸ポリープ・潰瘍性大腸炎など

肛門

痔核疾患・痔ろう

消化管のおもな病気『眠れなくなるほど面白い 図解 病理学の話』

★生命の設計図といわれるDNA
★細胞には2通りの死に方がある!?
★貧血はどうして起きるの?
★がんって本当に遺伝するの?

などなど気になるタイトルが目白押し!

シリーズ累計発行部数150万部突破の人気シリーズより、「病理学」について切りこんだした一冊。病理学とは「病(気の)理(ことわり)」の字のごとく、「人間の病気のしくみ」です。コロナウイルスが蔓延する中で、人はどのようにして病気になるのかが、改めて注目されています。細胞や血液、代謝や炎症、腫瘍、がん、遺伝子などと、人体のしくみ・器官、食事を含む生活、加齢などさまさまな環境との関連から、「病気」を解明するもの。専門書が多いなか、病気とその原因をわかりやすく図解した、身近な知識となる1冊です。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 病理学の話』
著:志賀 貢

病理学とは「病(気の)理(ことわり)」の字のごとく、「人間の病気のしくみ」。細胞や血液、代謝や炎症、腫瘍、がん、遺伝子などと、人体のしくみ・器官、食事を含む生活、加齢などさまさまな環境との関連から、「病気」を解明するもの。専門書が多いなか、病気とその原因をわかりやすく図解した、身近な知識となる1冊。細胞、血液、がんーー生命の不思議と病気の原因を、面白くわかりやすく探る!

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