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絶妙のカモフラージュで敵の目をくらます【ハンター生物の話】

Text:今泉忠明

ヒョウ

ヒョウは主に夜行性で、単独で狩りをします。背の高い草むらの中に身を隠して獲物にそっとしのび寄り、喉元に噛みついてしとめます。ヒョウの体表には、バラのような形をした「ロゼット(バラ飾り)」と呼ばれる独特の斑点模様があります。この模様は、草むらに隠れる時のカモフラージュにとても役立ちます。獲物はヒョウが至近距離に近づくまで気付かず、気付いたときには万事休す。弓のように曲がった長い爪と鋭い犬歯で瞬時に殺されてしまいます。

ヒョウ柄は今も洋服やバッグなどの模様として人気ですが、その魅力ゆえ、かつては毛皮をとることを目的として狩猟されることも多く、ヒョウは絶滅の危機に瀕してしまいました。自らの狩りに役立つ模様が、逆に人間による狩猟の対象となってしまったとは何とも皮肉です。ちなみに、急に態度が変わることを「豹変」と言いますが、これはヒョウの体毛が生えかわると、一気に鮮やかな模様が出てくることに由来しているそうです。今ではあまりいい意味で使われることのない言葉ですが、もともとは「よくないことを素早く改める」という意味の言葉です。

ヒョウは木登りも得意です。長い尾でバランスを取りながら、かなりの高木にも登ることができます。捕らえた獲物は木の上へ運び、そこでゆっくり時間をかけて食べます。ヒョウの脚や首の筋肉はたくましく、自分より大きな獲物を運ぶこともできます。木の上で食事をするのは、ライオンやハイエナなど他の動物に狙われないためと言われていますが、食事以外の時間も木の上で過ごすことがあります。ヒョウにとって木の上は、安息できるリビングダイニングなのでしょう。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 ハンター生物の話』
監修:今泉忠明 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
国立科学博物館で哺乳類の分類学・生態学を学ぶ。
上野動物園の動物解説員を経て、「ねこの博物館」(静岡県伊東市)館長。著書も多数。

図解シリーズで解説するハンター生物の話‼
ライオン、大鷲、ホオジロザメなど陸・海・空・川のハンター生物の狩りの方法をイラスト付きで紹介する一冊です。
単に子ども向けの図鑑ではなく、イラストと文章できちんと動物の生態を解説。
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