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果物よりも肉が好物!頭脳プレイで獲物をつかみとる【ハンター生物の話】

Text:今泉忠明

チンパンジー

チンパンジーはバナナなどの果物を好んで食べるイメージがありますが、実は肉食傾向が強く、サルの仲間の中では最もよく狩りをします。チンパンジーは群れで暮らし、狩りも群れで行います。獲物を見つけると、獲物を追いかける者と待ちかまえる者の二手に分かれ、徐々に獲物を追い詰めていきます。チンパンジーの握力は約200㎏もあり、その怪力で獲物を捕らえ、鋭い牙で獲物を噛みちぎって食べます。獲った肉を群れの仲間で分け合うこともあり、特に母子間では分配がよく見られます。

一方で、チンパンジーは「子殺し」をすることでも知られます。子殺しはライオンなど他の動物にも見られますが、ライオンの場合は、オスが繁殖のため群れにいるオスの子を殺し、母親を発情させるという目的があります。しかし、チンパンジーの子殺しの目的は解明されておらず、オスもメスも同じ群れの子供を殺し、しかもその殺した子供を食べてしまいます。チンパンジーの狩りの対象も約8割が同じサルの仲間で、人間が襲われた例もあります。人懐っこい表情や愛嬌のあるしぐさで動物園の人気者ですが、じつは意外と気性が荒く、力も強いので危険な動物でもあるのです。

また、チンパンジーは簡単な言葉やじゃんけんなどのルールも理解でき、人間の4歳児並みの知能があると言われます。小枝を切って葉を落とし、シロアリの巣穴に差し込んでシロアリを釣って食べたり、木の葉を噛みつぶしてスポンジ状にし、穴に溜まった水を吸い取って飲んだりと、目的に合わせて道具を作れる高い知能も持っているのです。チンパンジーは、力も頭脳も高い能力を兼ね備えた優秀なハンターなのです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 ハンター生物の話』
監修:今泉忠明 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
国立科学博物館で哺乳類の分類学・生態学を学ぶ。
上野動物園の動物解説員を経て、「ねこの博物館」(静岡県伊東市)館長。著書も多数。

図解シリーズで解説するハンター生物の話‼
ライオン、大鷲、ホオジロザメなど陸・海・空・川のハンター生物の狩りの方法をイラスト付きで紹介する一冊です。
単に子ども向けの図鑑ではなく、イラストと文章できちんと動物の生態を解説。
動物が生きるために、どのような工夫をしているのかを紹介します。

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