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数十匹でミツバチの巣を壊滅させる【ハンター生物の話】

Text:今泉忠明

オオスズメバチ

オオスズメバチはスズメバチの中でも最大で、体長は働きバチが27~40㎜、オスが27~45㎜、女王バチは40~55㎜。恐ろしさのあまりスズメほどの大きさがあると、誰かが思い込んだのでしょう。オスは毒針を持ちませんが、働きバチと女王バチは、ハチの中で最も強い毒を持ちます。

オオスズメバチは枯れ木などを唾液で固めて巣を作り、集団で暮らしています。巣作りは初夏から始まり、秋にかけて巣の中で幼虫を育てます。狩りは主に幼虫のために行われ、ターゲットとなるのは、ミツバチやアシナガバチなど、他のハチの巣。オオスズメバチの狩りは仲間と共同で役割が段階的に行われ、とても組織的です。まず、偵察役のハチがターゲットとなるハチの巣を見つけると、マーキングフェロモンを分泌して巣の場所を仲間が認知できるようにします。次に仲間とともに巣を襲撃し、抵抗する獲物を大きなアゴで攻撃したり毒で麻痺させたりして、殺したり巣から撤退させたりします。こうして巣を占拠し、巣の中の幼虫を奪うのです。手に入れた幼虫は殺したハチの死骸とともにその場で食べることもありますが、噛み砕いてから唾液で固めて運び出し、自分の巣に戻って幼虫の餌とします。

オオスズメバチの攻撃力は高く、数十匹で約4万匹ものミツバチを2時間ほどで全滅させることができるといいます。飛行能力も高く、時速約40㎞で飛び、1日で約100㎞移動できる持久力もあります。巣に危険を感じたときは人間を襲うこともあり、毎年のように各地でオオスズメバチによる死亡事故が発生しています。巣を見つけたらむやみに近づいたり、つついたりせず、自治体や専門業者に駆除を依頼しましょう。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 ハンター生物の話』
監修:今泉忠明 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
国立科学博物館で哺乳類の分類学・生態学を学ぶ。
上野動物園の動物解説員を経て、「ねこの博物館」(静岡県伊東市)館長。著書も多数。

図解シリーズで解説するハンター生物の話‼
ライオン、大鷲、ホオジロザメなど陸・海・空・川のハンター生物の狩りの方法をイラスト付きで紹介する一冊です。
単に子ども向けの図鑑ではなく、イラストと文章できちんと動物の生態を解説。
動物が生きるために、どのような工夫をしているのかを紹介します。

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