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数百万匹の大群で大きな動物も食い尽くす【ハンター生物の話】

Text:今泉忠明

グンタイアリ

一般的なアリは地中に巣を作りますが、グンタイアリは巣を作って定住せず、軍隊のように隊列をなして移動しながら暮らします。隊列は数百万匹からなり、前線が残したフェロモンをたどることで列を乱さずに進んでいくのです。狩りはこの行軍の最中に出会った獲物を集団で襲うという方法で行われます。グンタイアリの仲間は一部を除いて目が退化していてほとんど視力がないため、振動とにおいで獲物を見つけ出し、手当たり次第に狩りをします。気温が上がるとにおいが蒸散されてしまうため、狩りの時間は午前中と夕方以降に限られます。

グンタイアリの集団は、他のアリと同じく、女王アリ、オスアリ、働きアリの3階級あります。さらに働きアリは、隊列を見守るメジャー、捕った獲物を運ぶサブメジャー、獲物に噛みつくなど攻撃役で狩りの主軸を担うメディア、大勢でつながり、橋や梯子になって行軍を続けることをサポートするマイナーの4種に役割が分担されています。特にマイナーの働きはまさに自己犠牲のもとに築かれる軍隊そのもので、その行動は他のアリには見られません。

グンタイアリのアゴは鉤型に曲がっていて、一度、食いつくとなかなか離れません。また、お尻には毒針があり、獲物に噛みついた状態で獲物が絶命するまで毒針を何度も繰り返し刺します。人間を殺すほどの毒性はなく、噛まれたとしても軽傷で済みますが、何万匹もの大群で攻撃をしかける威力は昆虫最強とも言われます。獲物は昆虫や爬虫類が中心ですが、病気やケガで弱っている牛や馬を集団で丸ごと食い荒らすこともあり、人間が襲われた例もあるので注意が必要です。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 ハンター生物の話』
監修:今泉忠明 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
国立科学博物館で哺乳類の分類学・生態学を学ぶ。
上野動物園の動物解説員を経て、「ねこの博物館」(静岡県伊東市)館長。著書も多数。

図解シリーズで解説するハンター生物の話‼
ライオン、大鷲、ホオジロザメなど陸・海・空・川のハンター生物の狩りの方法をイラスト付きで紹介する一冊です。
単に子ども向けの図鑑ではなく、イラストと文章できちんと動物の生態を解説。
動物が生きるために、どのような工夫をしているのかを紹介します。

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