カワセミ
川畔や沼畔といった水辺に生息するカワセミは、体と尾が短く細長いくちばしを持っています。上面はルリ色、下面は栗色と鮮やかで飛ぶ宝石とも呼ばれるほど美しい外見をしています。また、英語では「漁師の王様」との異名があるほど魚をしとめるのが得意。細長いくちばしは水中に飛び込んだとき水の抵抗を少なくするためだと言われています。
カワセミが獲物とするのは、メダカやオイカワ、ドジョウなどの小魚やエビ。狩りをするときは、水面に突き出た杭の上や低く張り出した枝などに止まって水中の小魚の様子を観察します。じっとしたまま長時間動かないことがよくありますが、眠っているわけではありません。水中の魚影を追い、獲物が射程距離に入ってくるのを根気よく待っているのです。
獲物が射程距離に入ったら、頭から急降下して水中に飛び込みます。獲物をくちばしで挟んだらUターン。すぐに水中から飛び立ち、元いた杭や木の枝に戻って獲物を叩きつけ、トドメを刺します。獲物が小さければそのまま丸飲みにしてしまうことも。水中に飛び込んで獲物をとり、元の場所に戻るまでにかかる時間はほんの数秒です。また、カワセミは空中で同じ場所にとどまって飛ぶホバリングができるため、空中にとどまりながら獲物を探すこともあります。
カワセミはこのような狩りを一日に何回も繰り返します。1回の狩りを5~20分ほどかけて行い、その後は水浴びや羽づくろいをして1時間ほど休憩をとります。日が落ちるまで繰り返し、獲物の大きさにもよりますが、1日20匹前後の小魚を捕獲するのです。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 ハンター生物の話』
監修:今泉忠明 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
国立科学博物館で哺乳類の分類学・生態学を学ぶ。
上野動物園の動物解説員を経て、「ねこの博物館」(静岡県伊東市)館長。著書も多数。
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公開日:2022.02.24