しぐさで気持ちをわかってやろう
犬は言葉を発することができないため、態度や気持ちは体でしか表現できません。そこで、私たち飼い主が飼い犬のしぐさを見て気持ちを理解してあげなければ、うまくコミュニケーションはとれないわけです。
犬を飼っている人の中には、「飼い犬がなついてくれない」「ちっとも言うことをきかない」という不満を口にする人が少なくありません。しかし、それは、犬が発している気持ちのサインを飼い主が正しく読み取っていないために起きること。「○○だから、きっと△△なのだろう」と、自分(人間)を基準にして考えていると、犬の気持ちは正反対だったということはよくあります。たとえば、しっぽの動き。「犬がしっぽを振っている=喜んでいる」と思い込んでいる人が多いようですが、これは大間違い。
「喜んでいると思って手を出したらかまれた」という事故が起きるのは、犬だけが悪いのではなく、犬の気持ちを理解できなかった人間のほうにも責任があるのです。
犬がしっぽを振るのは、基本的に、目の前にいる人間や犬、物などに興味を持ち、注視しているとき。けっして友好的な態度を示しているわけではありません。
初対面の人が家を訪ねてきたときに、しっぽを振って興奮気味に出迎えてくれる犬もいますが、それは「コイツ、なんだか怪しいぞ。敵じゃないか」と思っている証拠です。
こんなときに歓迎してくれていると思い込み、いきなり頭をなでようとすれば、犬は「あっ、攻撃してきた」と考え、ますます興奮状態に陥おちいります。そして、手をガブリとやられることになるので、勘違いしないようにしてください。
ただ、犬が穏やかにしっぽを振っている場合は相手に服従性を示そうとしている気持ちの表れです。
出典:『面白くてよくわかる 決定版 イヌの気持ち』監修/藤井聡
【書誌情報】
『面白くてよくわかる 決定版 イヌの気持ち』
監修: 藤井 聡
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公開日:2021.12.01