危険を察知しているケースも
自分の意思で耳を動かせるという人がときどきいます。これは耳介筋という筋肉の働きによるもので、退化してはいるものの本来は誰でもできること。できない人は、単に動かし方を忘れてしまっただけといわれています。
それに対し、人間以外のほとんどの動物はこの耳介筋がとてもよく発達しており、とくに犬は耳をよく動かせます。そのためでしょうか、犬は耳にも感情がよく出ます。
たとえば、穏やかな表情で耳をピンと立てているときには、何かに注目していたり、注意を払っていることを表しています。
ビーグルやファーレンのように、たれ耳の犬は耳の動きがわかりにくいのですが、よく観察してみるといつもより耳に力が入っていたり、ピクッと動くのがわかるはずです。この状態から口角が上がったり口を少し開いて舌を出した場合には、「おもしろそうだぞ」という印象を持ちはじめています。
同じピンでも、耳を前方にやや傾けて歯を見せたり鼻や唇にシワが寄っている場合は、威嚇や自分の存在を誇示している証拠。たれ耳の犬でも耳に力が入り、水平方向に少し持ち上がっているはずです。
室内や庭でこんなしぐさを見せたときには、犬が注目している方向を見て、そこにあるもの(たとえば庭に侵入してきた猫だったり、見慣れない置物など)を取り除いてやると落ち着きます。
犬といえば嗅覚が有名ですが、聴覚も人間の四〜五倍鋭いのです。犬と暮らしていた古代人は、飼い犬の耳の動きを見て獲物がいる方向を知ったり、危険を察知したといわれていますから、私たちには見えない「何か」があると考えたほうがいいでしょう。
出典:『一流が実践する人生を変える呼吸法』監修/藤井聡
【書誌情報】
『面白くてよくわかる 決定版 イヌの気持ち』
監修: 藤井 聡
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公開日:2021.12.05