臭気から情報を得るのが目的
散歩中に他の犬と出会うと、お互いにお尻のにおいをかぎあうことがあります。とくにオスとメスの場合には気恥ずかしいため、ついついリードを強く引いてやめさせてしまいますが、犬にとっては単なるあいさつで、性的な目的はありません。
私たち人間も、初対面の人と会ったときには「はじめまして」と言って名刺交換をしますが、犬のお尻のかぎあいはこれと同じ。相手の性別や強さなどを確かめあっているのです。
しかし、なぜお尻なのでしょうか。じつは、犬の肛門のすぐ下には肛門腺という一対の器官があり、そこから特別な臭気を持つ液体を分泌しています。犬はその分泌物のにおいからさまざまな情報を得ようとしているのです。
ちなみにこの分泌物は、犬がウンチをするときによく観察していると確認できます。ウンチが終わった瞬間、おしっこのような液をポトリと数滴たらすはずです。これが犬の肛門腺から出た分泌物です。
犬の分泌物は少量のため、においはそれほど気になりませんが、イタチやスカンクなどはこの肛門腺がとくに発達しているので、強烈なにおいをまきちらします。しかし、肛門腺から分泌物を出すのが苦手な犬がいます。それをそのまま放置しておくと炎症を起こしたり、場合によっては肛門腺自体が破裂して致命傷になることもあるため、ときどき肛門腺を確認してやりましょう。
犬が自分のお尻を気にしだしたら要注意です。もし肛門腺が張っている場合には、獣医やトリマーに肛門腺を刺激・圧迫してもらい、分泌物を出してやりましょう。
出典:『面白くてよくわかる 決定版 イヌの気持ち』監修/藤井聡
【書誌情報】
『面白くてよくわかる 決定版 イヌの気持ち』
監修: 藤井 聡
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公開日:2021.12.30