制御不能になる前に気付いて変えよう
多かれ少なかれ、私たちは何かに依存しながら心のバランスをとり、社会に順応しながら生きています。それが悪いわけではなく、依存する対象も、暮らしを豊かで楽しくしてくれるような物や行為がほとんどです。そのため、依存症になってしまう可能性は誰にでもあるので、悪い依存状態になっていないか、ときどきチェックしておくと安心です。例えばお酒なら、いつもは楽しく飲んでたまに失敗するぐらいなら心配ありませんが、週に何回も酔いつぶれるほど飲むのは要注意。 適切な量や頻度を超えると、二日酔いで遅刻や欠勤が増え、家族との関係も悪くなります。自覚がない場合も多いので、家族や周囲の人に注意されたら、生活を見直すようにしましょう。このあたりで踏みとどまれればよいのですが、マイナスの状況が積み重なっても飲まずにはいられなくなってしまうと、依存症の可能性が濃厚です。
もう1つの判断基準は、大切なものの優先順位です。依存症になると、嘘をついてでもお酒を飲み続ける、ギャンブルのために借金をしてしまう、ゲームに没頭するあまり学校や職場にも行かなくなるなど、依存している物や行為が全ての最優先に。こうなると自分自身では制御できず、家族だけではどうにもなりません。専門家や、地域の精神保健福祉センターに相談してください。
悪い依存を見極めるポイント
プチ依存も下の3つのステップをたどると依存症になります。アルコールへの依存を例にチェックしてみましょう。
適切な量や頻度を超えている
ほぼ毎日飲む、アルコール度数の高いお酒が増える、仕事中もこっそり飲む、休日は朝から飲むなど。
生活に悪影響を及ぼしている
人間関係が悪くなる、健康を損ねる、お金がなくてもツケで飲む、酔って大切なものを紛失するなど。
自分の意志でコントロールできない
お酒以外がどうでもよくなる、酔いがさめると不安や焦燥感が止まらない、お酒で失業しても飲むなど。
気がつかないうちに優先順位が変わる!?
依存症かどうかの境界は、 その人や周囲の感じ方などによっても変わりますが、依存対象の優先順位が上がるほど、 依存が強まっているといえます。
気付いたら早めに対策を!
依存症は「早く」「自分で」気付くことが大切です。がんなどと同じで、早期に発見して専門家に相談すれば、人生を棒に振ることはありません。
出典:『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』大石 雅之
【書誌情報】
『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』
大石 雅之 著
特定の物質や行動をやめたくてもやめられない病の「依存症」。スマートフォンの普及や時代の変化にともない、依存症の種類も多様化しました。「スマホ依存」「ゲーム障害」などの言葉は、テレビやインターネットのニュースで目にする機会も増え、社会問題として注目されています。依存症は一度症状が出てしまうと完治が難しい病気です。本書はその依存症について具体例を交えながら、依存する人としない人の違いや依存症の進行の仕方、依存症が起こるメカニズムなどを、メンタルマネジメントや環境、生活習慣の観点から図解でわかりやすく解説。
公開日:2023.08.12