加熱式たばこでも依存症に
たばこもなかなかやめられないものの1つ。厚生労働省が2019年に行った「国民健康・栄養調査」では、成人の喫煙率は男性で27.1%、女性で7.6%。過去10年で見ると減少傾向ですが、50代女性では増加しています。たばこに含まれるニコチンは、極めて吸収が早
く、煙を吸い込んで数秒でドーパミンなどの神経伝達物質を増やします。体から抜ける速度も早いので、ついもう1本と本数が増えて依存に陥ってしまうのです。たばこの煙には数百種類もの有害物質が含まれていて、そのうち約70種類は発がん性物質。他にも呼吸機能低下や動脈硬化、心筋梗塞、狭心症、糖尿病、 腹部大動脈瘤など、非常に多くの病気を招くことがわかっています。
20~30代の喫煙者を中心に使用が増えている加熱式たばこは、たばこの葉を詰めたカプセルを電気で加熱して、発生する蒸気を吸うタイプ。 煙が少なく安全だと思われていますが、ニコチンをはじめ様々な有害物質が含まれていることに変わりありません。2020年施行の改正健康増進法でも規制の対象になっています。ニコチン依存から抜け出し健康を取り戻すには、禁煙外来を利用しましょう。禁煙補助薬の処方や離脱症状を和らげるニコチン代替療法を行っていて、保険適用されるケースも多いので、まずは専門科を受診してみてください。
たばこを吸うとがんになりやすい!
ニコチンは脳に直接作用してドーパミンを大量に放出させる依存性の強い物質。がんや呼吸器疾患など、健康被害は周りの人にも及びます。
喫煙者がなりやすいがん
鼻腔・副鼻腔がん
口腔・咽頭がん
喉頭がん
食道がん
肺がん
肝臓がん
胃がん
すい臓がん
子宮頸がん
膀胱がん
周囲の人がなりやすいがん
鼻腔・副鼻腔がん
肺がん
乳がん
出典:『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』大石 雅之
【書誌情報】
『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』
大石 雅之 著
特定の物質や行動をやめたくてもやめられない病の「依存症」。スマートフォンの普及や時代の変化にともない、依存症の種類も多様化しました。「スマホ依存」「ゲーム障害」などの言葉は、テレビやインターネットのニュースで目にする機会も増え、社会問題として注目されています。依存症は一度症状が出てしまうと完治が難しい病気です。本書はその依存症について具体例を交えながら、依存する人としない人の違いや依存症の進行の仕方、依存症が起こるメカニズムなどを、メンタルマネジメントや環境、生活習慣の観点から図解でわかりやすく解説。
公開日:2023.08.27