若い世代が短期間でギャンブル依存症に
ギャンブルがやめられないのは意志の弱さや、倫理観の低さではありません。病的賭博という診断名を持つ疾患です。治療が必要な患者さんも、最初は多くの人と同様に遊びの範囲で楽しんでいたことでしょう。ただ、ギャンブルを続けていると、頻度や賭け金が増えてポケットマネーや貯金では足りなくなり、多くの人はここで遊ぶのをやめます。しかし、依存症に陥る人はギャンブルが脳にもたらす快楽を求め続けた結果、やめると激しい焦燥感や不安にさいなまれるため、消費者金融やサラ金などに借金してでも続けてしまうのです。
2022年に大石クリニックを受診したギャンブル依存症の新規患者数は、男性144人(そのうち20代48人、30代4人)、女性5人。若い男性が多い傾向なのは、スマホでギャンブルができるようになり、若い世代が短期間にハマるようになったためです。軽症の段階で家族に連れられて相談に来るケースも増えていると感じています。依存を引き起こすギャンブルは多岐にわたり、受診人数が多いのはパチンコ、スロット、競馬の3つ。競輪・競艇への依存も見られ、ギャンブルと同様にお金をつぎ込んでしまうFXや、違法性が疑われるオンラインカジノにハマるケースも増えています。ギャンブルへの依存による経済的・社会的・精神的なダメージは本人だけにとどまらず、家族の生活や人生も狂わせてしまいます。
ギャンブル依存症の原因って?
ギャンブルをやめられずに依存症に陥る原因として、ギャンブルが身近な環境や忘れられない体験などに影響していると考えられます。
親が日常的にギャンブルを行っている
家族がギャンブル好きだとリスク増。
ギャンブルを始めた頃に大勝ちしたことがある
強烈な快感が忘れられずにのめり込む。
ギャンブルが簡単にできる環境
仕事の合間にもこっそり購入するように。
出典:『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』大石 雅之
【書誌情報】
『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』
大石 雅之 著
特定の物質や行動をやめたくてもやめられない病の「依存症」。スマートフォンの普及や時代の変化にともない、依存症の種類も多様化しました。「スマホ依存」「ゲーム障害」などの言葉は、テレビやインターネットのニュースで目にする機会も増え、社会問題として注目されています。依存症は一度症状が出てしまうと完治が難しい病気です。本書はその依存症について具体例を交えながら、依存する人としない人の違いや依存症の進行の仕方、依存症が起こるメカニズムなどを、メンタルマネジメントや環境、生活習慣の観点から図解でわかりやすく解説。
公開日:2023.08.28