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洗剤などでよく見る「まぜるな!危険」はなぜ混ぜると危ないの?【図解 化学の話】

Text:野村 義宏 澄田 夢久

ある洗剤は混ぜるとなぜ危険なのか

洗剤は化学物質なので、取り扱いに注意の必要な製品がありますね。そのため「まぜるな 危険」(図1)と表記した洗剤を目にすることがあるでしょう。どうして、そうした表記が必要になったのか。あとで説明しますが、混ぜてはいけない洗剤を混ぜて重大な事故が起きたからです。家庭で使う洗剤には、大きく分けて3タイプがあります。トイレ用洗剤などの酸性タイプ、油汚れを取るアルカリ性タイプ、除菌も漂白もできる塩素系のものです。このうち、酸性タイプと塩素系洗浄剤を混ぜると有害な塩素ガスが発生します。ですから、「まぜるな危険」と表記されている製品は、

・必ず単独で使用すること
・使用の際には換気をすること
・使用前に注意事項をよく読むこと

が重要で、これらを守ることが鉄則となります。そのうえで疑問や不安があれば消費者センターに相談する。これも心に留めておいたほうがいいでしょう。また、万が一、有害ガスが発生したときは、発生場所から離れ、素早く換気をする。皮膚、目、口に付着したなら、流水で洗い、病院に行く。これも鉄則ですね。では、「まぜるな危険」の表記についてですが、この表記が義務付けられたのは、1980年代に一般家庭で数件発生した事故がきっかけでした。清掃時に混ぜてはいけない洗浄剤を誤って混合したことで発生した塩素ガスを吸い込み、亡くなられた方が出たという事例です。幸い「まぜるな 危険」の注意書き表示が義務化されたことと、混ぜたら危険ということが周知されてきたためか、家庭内での事故はほとんど聞かれなくなったように思われます。ところが、残念なことに、事故は工場や学校のプールで起こっています。食品工場の場合、殺菌目的で洗浄剤を使うため、その際に誤混入して事故を誘発した事例です。学校での事故の多くはプールで起きています。薬剤タンクを消毒するときに消毒剤を誤って混ぜてしまい発生したのです。おおかたの事故は、人の不注意からでしょう。何事につけヒューマンエラーは慣れてきたころに起きがちです。危険物を取り扱うときには、急がず手順を再確認して臨むことが大事なのですね。

「まぜるな危険」の表記『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』野村 義宏・澄田 夢久

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』
野村 義宏 監修・著/澄田 夢久 著

宇宙や地球に存在するあらゆる物質について知る学問が「化学」。人はその歴史の始めから、化学と出合うことで多くのことを学び、生活や技術を進歩・進化させてきました。ゆえに、身近な日常生活はもとより最新技術にかかわる不思議なことや疑問はすべて化学で解明できるのです。化学的な発見・発明の歴史から、生活日用品、衣食住、医学の進化までやさしく解明する1冊!

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