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うま味はどうして食べ物をおいしくするの?昆布ロードが存在するって本当?【図解 化学の話】

Text:野村 義宏 澄田 夢久

江戸時代に開拓された昆布ロード

「うま味」と「旨味」に意味の違いがあることをご存知でしたか。日本うま味調味料協会によると、うま味とは、甘味・酸味・塩味・苦味と同じ基本の5味の1つ、旨味は文字通り旨さを表す文字。使い分けているのですね。そのうま味物質にはアミノ酸一族の「グルタミン酸」、核酸に分類される「イノシン酸」「グアニル酸」などがあります(図1)。グルタミン酸は、昆布に代表される海藻やトマト、ブロッコリーなどの野菜、醤油・味噌などの発酵調味料にも含まれています。料理での化学反応の面白さは、うま味成分を組み合わせると旨味が相乗的に強くなることでしょうか。うま味成分を認識するのは、「舌」に存在する「味細胞(味蕾)」です。味物質が味細胞と反応しいろんな味を感知します。基本の5味は、味細胞の表面で反応し、種々の刺激を脳に送っています。甘味はエネルギー源、塩味はミネラルバランス、うま味はタンパク質の消化を促すシグナル、という具合にです。

食べ物がおいしく感じるのは、うま味の刺激が、ほかの成分の刺激を引き立たせるから、と考えられています。たとえば、日本料理でのダシの取り方は、昆布(グルタミン酸)や鰹節(イノシン酸)・煮干し(イノシン酸)干し椎茸(グアニル酸)、西洋・中華料理では、野菜(グルタミン酸)や鶏ガラ・豚骨・牛骨(イノシン酸)でブイヨン(ダシ)をつくります。異なるダシ(物質)で相乗効果を生じさせる、というわけです。「ダシをとる」という考え方は日本独特のものですが、大きく分けて関西と関東では、ダシの文化が異なっています。昆布の流通経路 水の硬度の問題があったからです。江戸時代、昆布産地の蝦夷(北海道)から酒田、敦賀、京都、大坂(当時の表記)、そして江戸へと「昆布ロード」(図2)が確立されます。水質は関西が軟水のため昆布ダシが主流となり、良質の昆布が消費された。関東は硬水だったので濃いダシが好まれ、鰹節が主流になった。ですが、鰹節は高価なので、通常は安価に大量に採れた煮干しダシが使われたようです。ともあれ、21世紀「UMAMI」は世界的に認知され、世界中の理人が隠し味で利用するようになりました。誇らしい一事といえますね。

各種の食品に含まれるうま味成分量

グルタミン酸

昆布(200~3400)
チーズ(180~2220)
白菜(40~100)
トマト(100~250)
アスパラ(30~50)
ブロッコリー(30~60)
玉ねぎ(20~50)
醤油(400~1700)
味噌(100~700)

イノシン酸

鶏肉(150~230)
牛(80)
鰹節(470~700)
豚肉(130~230)
鰹(130~270)

グアニル酸

干し椎茸(150)
乾燥ポルチーニ(10)

各種の食品に含まれるうま味成分量『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』

昆布ロード

昆布は鎌倉時代後期に蝦夷の松前から運ばれるようになる。江戸時代になると北前船によって下関から瀬戸内海を航行する西廻り航路で大坂へ、ついで江戸へ運ばれた。やがて東廻り航路も開かれて海上航路は殷賑(いんしん)を極め、航路は西国や琉球、清国へも延びていく。この航路を総称して「昆布ロード」という。

昆布ロード『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』野村 義宏・澄田 夢久

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』
野村 義宏 監修・著/澄田 夢久 著

宇宙や地球に存在するあらゆる物質について知る学問が「化学」。人はその歴史の始めから、化学と出合うことで多くのことを学び、生活や技術を進歩・進化させてきました。ゆえに、身近な日常生活はもとより最新技術にかかわる不思議なことや疑問はすべて化学で解明できるのです。化学的な発見・発明の歴史から、生活日用品、衣食住、医学の進化までやさしく解明する1冊!

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