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噛んでも口の中で消えることのないガムは、どうして無くならないのか?どんな成分を含んでいるの?【図解 化学の話】

Text:野村 義宏 澄田 夢久

噛んでも噛んでも無くならないガム

チューインガム。どなたも噛んだことがあるでしょう。このチューインガム、語源はチューイング・ゴム(=ゴムを噛む)から来ています。メキシコのマヤ文明の時代に、住民がサポディラ(図1)という樹の樹液を煮詰めて固めたもの(天然チクル)を噛んでいたのがチューインガムのはじまりです。テキサスの帰属を争った1846~1848年のアメリカとメキシコの戦争時代にアメリカに伝わり、甘味料を加えて売り出されたことで、爆発的に人気を呼びました。では、このチューインガムはなぜ口中で溶けないのか。ガムは天然チクルに含有するポリイソプレンや酢酸ビニル樹脂などの植物性の樹脂が主な原料です。天然チクルは、中南米の常緑樹サポディラから採取する樹液ですが、ポリイソプレンは素が網目に連なった構造で、水に溶けにくい性質を持っています。つまり、唾液で溶けないということです。また、その編目構造に硬軟を調節する物質や香料、甘味料を含ませるので、ガムを噛むと香りと味が染み出してくるのです。子どものころ、駄菓子屋で外側がイチゴ味 オレンジ味、ブドウ味の糖衣で囲まれたガムを買った記憶が思い出されます。風船ガムを噛んだときには思いっきり膨らませたことがありました。風船ガムは、ガムベースの酢酸ビニル樹脂の細い糸が絡み合った網のような素材で、丈夫で伸びやすくなったものです。

話を変えますが、最近、「オーラルフレイル」(図2)という言葉を聞きます。口腔機能の衰えで食べる力が弱くなり、体が衰え(フレイル)てしまう老化現象の1つです。そうなると社会生活に支障が出ます。そこに登場する援軍がガムです。ガムを噛んでいると、「口臭改善」「唾液の分泌を促し消化を補助」「歯茎と顎の骨の堅牢化」「脳の活性化」などの効果が期待できます。また、虫歯予防のためのキシリトール(多くの果実や野菜に含まれる虫歯にならない甘味料)含有のガムが販売されています。キシリトールは白樺や樫の樹液から抽出します。オススメは、歯の再石灰化を促進する成分含有量の多いもので、特定保険用食品として認定されているガム。どうやらガムは、健康にも寄与するすぐれた食品のようです。

サボディラの樹

(左)サボディラから天然チクル採取(1917年ベリーズ)。
(右)サボディラの樹。

サボディラの樹『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』

オーラルフレイルへの進み方

第1段階・・・口腔内の健康リテラシーが低下。口腔機能の管理に関心が低い。
第2段階・・・口腔内にトラブル発生。噛みにくい食品の増加や食べこぼし、滑舌の低下。
第3段階・・・口腔内の機能低下。口が乾燥し、噛む筋力が低下して食べにくい。
第4段階・・・食事機能の障害(噛めない、飲み込めない、食べられない)。
最終段階・・・フレイル、要介護へ

オーラルフレイルへの進み方『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』野村 義宏・澄田 夢久

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』
野村 義宏 監修・著/澄田 夢久 著

宇宙や地球に存在するあらゆる物質について知る学問が「化学」。人はその歴史の始めから、化学と出合うことで多くのことを学び、生活や技術を進歩・進化させてきました。ゆえに、身近な日常生活はもとより最新技術にかかわる不思議なことや疑問はすべて化学で解明できるのです。化学的な発見・発明の歴史から、生活日用品、衣食住、医学の進化までやさしく解明する1冊!

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