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山菜シーズンに知りたい!人が食べて命を落とした野山の毒とは!?【図解 化学の話】

Text:野村 義宏 澄田 夢久

命と引き換えにしてきた知恵と知識

「おい、その食べ物、かもしれないぞ!」といわれたら、びっくりして取り落すかもしれない。そんな恐怖におののいてきたのが、人と食べ物の歴史だった、といっても言い過ぎではないでしょう。化学が発展し、食べ物の成分分析もしっかり行われている現代では、万に一つもそんな危険はないと信じたいところですが、それでも時に人のミスによって、また成分への理解が甘かったために、体に悪く作用する毒素が入らないとは限りません。食中毒はいつだってあり得るのですから、よくよく生産者も消費者も気をつけなければいけない、それが食べ物です。さて、ではそんな成分分析など知る由もない古代の人は、食料とどう向き合ったのか。人が誕生して以来、見えるものとして猛獣など、見えないものとして有毒ガスや病原菌。周りは危険だらけでしたが、いちばん大切な食べ物にも危険が潜んでいました。そんな危険な食べ物とはどんなものだったでしょう。陸生の動植物、水生の動植物とあまたある中で、まずもって「毒キノコ」(図1)が想像できます。

人にとっての重要な食べ物の一つに、栄養価の高いキノコがあったことは間違いないでしょう。とすれば、毒キノコを食してしばしば命を落とした仲間がいたことは疑問の余地はない。この恐怖は、日本では旧石器時代→プレ縄文時代(新石器時代)→縄文時代→弥生時代と経年しつつも続いていました。ですが、それでも人には「知恵」という武器がありました。命を落とすたびに経験した衝撃を部族の共通「知識」として蓄え、子孫にも伝えていったのです。きっと、こうした命と引き換えにしてきた知恵と知識は、人の発展の礎になってきたのでしょうね。

猛毒キノコ御三家と他の毒キノコの一部

ドクツルタケ、シロタマゴテングタケ、テングタケは、テングタケ属に属し、日本では「猛毒キノコ御三家」と呼ばれる。毒成分は、アマトキシン類 (8つのアミノ酸が結合した環状ペプチド)・ファロトキシン類 (二環式ヘプタペプチド) のほかピロトキシン類・ジヒドロキシグルタミン酸などで、1本食しただけでも肝臓や腎臓の組織を破壊する。医療機関で適正な処置をしない限り、3日以内に死亡する。ドクツルタケは、地方では「テッポウタケ」「ヤタラタケ」とも呼ばれて恐れられているが、欧米でも、別称Destroying angelといい、破壊や殺し、死の天使という意味を持つ。

猛毒キノコ御三家と他の毒キノコの一部『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』

他の毒キノコの種類の一部

ツキヨタケ
クサウラベニタケ
ニセクロハツ
カキシメジ
カエンタケ
スギヒラタケ
ドクササコ
オオシロカラカサタケ
フクロツルタケ

他の毒キノコの種類の一部『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』野村 義宏・澄田 夢久

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』
野村 義宏 監修・著/澄田 夢久 著

宇宙や地球に存在するあらゆる物質について知る学問が「化学」。人はその歴史の始めから、化学と出合うことで多くのことを学び、生活や技術を進歩・進化させてきました。ゆえに、身近な日常生活はもとより最新技術にかかわる不思議なことや疑問はすべて化学で解明できるのです。化学的な発見・発明の歴史から、生活日用品、衣食住、医学の進化までやさしく解明する1冊!

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