父を倒して兄姉たちを救い、分かち合って世界を統べる
ギリシャ神話の中核的存在であるゼウスは、クロノスと、その姉である女神レアの間に生まれた息子です。
ゼウスの本拠地は、ギリシャ最高峰であるオリュンポス山。壮麗な神殿を築き、妻ヘラやほかの女神との間に多くの神々を生み出して世界を統(す)べました。
全知全能と称される通り、この世のすべてのことを見通し、意のままにできる偉大な存在ゼウス。ゼウスもまた、父クロノスと同じように、祖母であるガイアの助けを借りて父を倒し、神々のリーダーとなります。
その苦難に満ちた出生と、父を倒すまでの道のりは、次々回で詳しく紹介しますが、ゼウスは神々だけではなく、人間にとっても「父」といえる存在でした。
「ゼウス」とは「天空」「輝き」に由来する名。雲、雨、雷などを司ることから、この世界の平和と秩序を守り、人間に法を与え、正義の遂行を見守る神としても捉えられるようになりました。人間界で行なわれる社会現象のすべてを司る保護・支配者といった立ち位置です。
そして、家を守護し、かまどや財産を守る役割もあり、豊穣をもたらす神でもありました。ただその一方で、神々の特権を侵犯する者を厳しく罰しました。
*オリュンポス山:ゼウスをはじめオリュンポス神族が住んでいた山で、ギリシャ北部にある。神々はこの山の山頂にそれぞれ神殿を構えていた。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々』
著者:鈴木悠介 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
早稲田大学卒業。予備校講師(世界史)。現在は各地でのライブ授業に加え、YouTubeの予備校「ただよび」やオンライン予備校「学びエイド」などの映像配信授業でも活躍中。また教育系YouTuberとしての顔も持ち、YouTube「すずゆうチャンネル」ではさまざまな世界史コンテンツを発信している。
恋多き神々の王・ゼウス、神々を従える最強の神・トール、4本腕の荒ぶる神・シヴァ。 個性豊かで魅力たっぷり! 世界の神様のキャラクターを大解説! ギリシャ神話、北欧神話、ケルト神話、エジプト神話、インド神話、メソアメリカ神話。人気抜群の神々と英雄たち32神(人)の性格とエピソードを、イラストと図を交え、わかりやすく紹介します。神々たちの愛憎ドラマのギリシャ神話、世界樹の下、終末に向かって突き進む北欧神話、妖精も登場するケルト神話……。神々と怪物、巨人、英雄たちが繰り広げる壮大な戦いや奇想天外な天地創造の物語など、想像を絶する神話のストーリーと世界観もくわしく解説しました。世界の神々を知ると、映画、小説、テレビドラマ、マンガ、ゲームがもっと楽しくなります!
公開日:2022.09.02