アイルランド中心に伝わる神々と人間の攻防
ケルト人とは、紀元前3世紀頃に現在のイギリスからルーマニアまでの地域に暮らした民族です。ケルト神話は、このエリアの中でもアイルランドを中心に伝わる神話をいいます。
もともとは口承で伝えられ、10世紀以降にキリスト教修道士によって書き記されました。来寇(らいこう)神話群、アルスター物語群、フィン物語群、歴史物語群の4つに大別されています。
中心的な存在はダーナ神族と呼ばれる神々です。黒い雲とともにアイルランド北西部に上陸し、魔力、知力、技術力で支配しました。
この地に到着する前には、4つの秘宝(リア・ファル、ブリューナク、クラウ・ソラス、ダグザの大釜)を手に入れています。
その頃、アイルランドはフィル・ボルグ族が支配していましたが、ダーナ神族は、フィル・ボルグ族に迫害されていたフォモール族と組んでフィル・ボルグ族を倒します。
アイルランドを支配したダーナ神族でしたが、後からやってきた人間のミレー族(ケルト人の祖先)に敗れ、辺境の地へ送られます。
そして、ここで妖精となり、地上に現れては奇々怪々なエピソードを展開していきます。
ダーナ神族は実在したともいわれ、アイルランドに残る巨石遺跡はダーナ神族によってつくられたものが多いと考えられています。
*ケルト:かつてローマ人は、ケルト人が住むエリアをガリアと呼んだ。詩人ルカヌスの『内乱記』にはガリアの神による悽惨(せいさん)な物語が残されている。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々』
著者:鈴木悠介 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
早稲田大学卒業。予備校講師(世界史)。現在は各地でのライブ授業に加え、YouTubeの予備校「ただよび」やオンライン予備校「学びエイド」などの映像配信授業でも活躍中。また教育系YouTuberとしての顔も持ち、YouTube「すずゆうチャンネル」ではさまざまな世界史コンテンツを発信している。
恋多き神々の王・ゼウス、神々を従える最強の神・トール、4本腕の荒ぶる神・シヴァ。 個性豊かで魅力たっぷり! 世界の神様のキャラクターを大解説! ギリシャ神話、北欧神話、ケルト神話、エジプト神話、インド神話、メソアメリカ神話。人気抜群の神々と英雄たち32神(人)の性格とエピソードを、イラストと図を交え、わかりやすく紹介します。神々たちの愛憎ドラマのギリシャ神話、世界樹の下、終末に向かって突き進む北欧神話、妖精も登場するケルト神話……。神々と怪物、巨人、英雄たちが繰り広げる壮大な戦いや奇想天外な天地創造の物語など、想像を絶する神話のストーリーと世界観もくわしく解説しました。世界の神々を知ると、映画、小説、テレビドラマ、マンガ、ゲームがもっと楽しくなります!
公開日:2022.09.30