行動経済学は人間の非合理行動を解明する
感性マーケティングで重要なものに、人の聴覚を刺激するBGM(背景音楽)効果があります。スーパーや百貨店、レストランやリラクゼーション施設ではBGMが欠かせません。それは消費を促進させるべく仕組まれたものだからです。具体的な効果には、主に3つが挙げられます。
一番目は、「マスキング効果」と呼ばれるものです。マスキングには、覆い隠す、包み込むといった意味があります。他の邪魔な音を隠す効果です。たとえば、BGMを流すことで、外部の騒音などを遮断する効果があるでしょう。これで独自の環境空間を作れます。
また、レストランなどでは、厨房で料理する音、食器を洗う音などを消去し、他の席のお客の話声を聴こえにくくさせることも必要です。 まったくBGMがない空間では、雑音が響き渡り、落ち着いた空間を演出することができなくなるからです。
二番目は、「イメージ誘導効果」です。高級感を演出したり、安らぎを演出することで、上品な環境を作り出せます。あるいは、軽快なBGMを流すことで、楽しさやワクワク感を高める効果も得られます。クリスマスやお正月といった季節感を演出することでも、シーズン商品の販促につながるでしょう。
三番目は、「感情誘導効果」です。お客の気分を安らいだものに導き、ゆったりとくつろいだ気持ちにさせることで、安心感を広げ、消費意欲を喚起させます。
心理学の実験では、スローテンポのBGMは、お客の足取りを遅くさせ、店内の滞在時間を伸ばすことで売上アップに寄与することがわかっています。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』
監修:神樹兵輔
日本の社会をとりまく環境は日々変化を続け、日本経済を知ることはイコール「世界や社会の今」を見ることにもなる。行動経済学から、原価のしくみ、生活に密着した経済の疑問や問題点など、いま知っておきたい経済の基本を、身近なテーマとともに図とイラストでわかるやすく解説、読み解く一冊。
公開日:2021.04.05