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高級ブランドが7割引きで売っても儲かるアウトレットモールの賢い仕掛けとは!?【経済の話】

Text:神樹兵輔

アウトレットは本当におトク?

高級ブランド品には根強いファンがついています。高価なモノを持つことで、自己顕示欲が満たされ(ウェブレン効果)、高級ブランド品にふさわしい自分といった気分に浸れるからです(自己拡張・拡大効果)。これこそが高級ブランド品が、リーズナブルな価格でなく高額たるゆえんなのです。

そのため、そんな顧客の心理を裏切るようなバーゲン展開を、同一店内で行うことはありません。高級ブランド品たる地位が揺らぐからです。

しかし、商品販売というものは機会損失(在庫がなくて売り損じること)を失くすためにも、つねに商品を多く作りすぎる危険と背中合わせです。つまり、売れ残りが生じやすい業態なのです。売れ残った商品での見切り処分ができないと、原価は丸損です。そこで編み出されたのがアウトレットモールという賢い販売拠点の確立でした。

アウトレットモールは1980年代に米国で生まれた業態です。初めは工場の一角などで、訳あり商品などを細々と売る形が、やがて少々不便な立地にブランド品の店舗を集積させるようになったのです。お客は、高級ブランド品が安く買えると思えば、不便な場所でも、マイカーや観光バスを使って遠方のモールまで出かけてくれます。

もともと高級ブランド品は、お客にとってコストパフォーマンスのよい商品ではありません。

その証拠に、本物と区別のつかない精巧な偽物が格安で出回りますが、原価は価格の2割以上もしないからです。高額定価がアンカリング(船の碇効果)となってモールが安いと錯覚させられます。メーカーはアウトレットモールで、3割引きや7割引きといった低価格で売っても、原価を割らない範囲内ゆえに十分な利益が出せるわけです。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』
監修:神樹兵輔

日本の社会をとりまく環境は日々変化を続け、日本経済を知ることはイコール「世界や社会の今」を見ることにもなる。行動経済学から、原価のしくみ、生活に密着した経済の疑問や問題点など、いま知っておきたい経済の基本を、身近なテーマとともに図とイラストでわかるやすく解説、読み解く一冊。

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