色彩がもたらす人間への影響力とは?
人間の行動に及ぼす色彩の力は侮れません。たとえば、病院は青や白といった寒色系や無彩色カラーを天井や壁に使い、清潔感を表わします。ファストフード店では、お客を早く回転させるため、滞在時間が長く感じられる赤系や茶系といった暖色系がよく用いられています。
また、色には重さをイメージさせる効果もあります。白、薄緑、黒の3種類に色分けした同一の段ボール箱を運ぶ実験では、黒色の段ボールが一番重く感じられ、一番軽く感じられた白色の2倍近い重さを体感させています。
薄緑はこれらの中間で、白色に近い体感レベルでした。白色は軽快感があるので運動靴や体操着などに使われます。
こうしたユニフォーム効果では、警察官やガードマン、葬儀社のスタッフなどの制服が黒系です。権威や厳格さをイメージさせる色だからです。また、競技用ユニフォームに黒系を多用すると重厚感が増し、実力以上に強いイメージになります。企業が不祥事を起こし、役員陣が謝罪する場面では、全員黒系のダークスーツを身にまといます。白系や薄色スーツでは反省が伝わらないからです。
周囲から軽いイメージでとらえられている人は、黒系のスーツにすると重厚感を出せるはずです。色彩には、こうしたイメージがつきものです。 なお赤色だけは、とりわけ強力な力が働くことが知られています。米国のレストランの実験では、スタッフが赤色のシャツの時、チップが一番多くなったという有名な実験まであります。
赤は血の色に通じて目を惹き、その人物を男女ともに魅力的に映す効果があるとされています。 つまり、服装のどこかに赤色を取り入れると、情熱的、セクシーに魅せられるモテ色なのです。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』
監修:神樹兵輔
日本の社会をとりまく環境は日々変化を続け、日本経済を知ることはイコール「世界や社会の今」を見ることにもなる。行動経済学から、原価のしくみ、生活に密着した経済の疑問や問題点など、いま知っておきたい経済の基本を、身近なテーマとともに図とイラストでわかるやすく解説、読み解く一冊。
公開日:2021.04.07