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紙でできた家があるって本当?坂茂が目指した「新時代を象徴する建築」【建築の話】

強くて重いから弱くて軽い建築へ

おとぎ話『三匹の子豚』は強くて重いレンガの家で狼に勝利するお話でしたが、まるで対極の材料で建物をつくる建築家がいます。坂茂がつかうのは、なんと紙。坂は「材料自体の強度とそれをつかった建築の強度はまったく無関係」という考えに基づき、あえて弱い紙で強い構造をつくる活動を続けています。

建築素材は、紙管と呼ばれる筒状の紙です。トイレットペーパーの芯を大きくしたような形状で、通常はコンクリート丸柱の型枠などにつかわれています。紙なので長さや太さ、厚みは自由です。ただし問題は法律でした。

日本で建築用素材として認められているのは木、鉄骨、コンクリートだけ。それ以外の素材で建てる場合は、その都度安全性を証明し、認定を受ける必要があります。そのため、坂は自分で紙の別荘を建て、認定を取得したのです。

紙の建築のおもしろさの一つは、自由度の高さです。紙管は1本ずつ柱や梁としてつかう以外に、面上に並べて壁や天井にしたり、竹のようにしならせて巨大なドームにすることもできます。非常に太い紙管を建て、内部をトイレとして利用することも可能です。もう一つの魅力は、特別な技術や道具を必要としない点です。

そのために、坂は、紙管と紙管をつなぐ部材(継手)や基礎との連結を簡素化し、一般人でもDIY感覚で組み立てられるようにしました。

阪神淡路大震災以降、さまざまな災害復興施設や仮設住宅に紙の建築が利用されていますが、ほとんどがボランティアによる組み立てです。

強くて重いから弱くて軽いへ。坂茂の試みは、新時代を象徴する建築といえるでしょう。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 建築の話』著/スタジオワーク

【書誌情報】
『図解 建築の話』
著者:スタジオワーク

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