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お寺好きは知っておきたいお寺の配置がよくわかる「須弥山図」とは?【建築の話】

境内は仏に至る道(須弥山図)を模している

お寺の境内では、まず最初の門(総門、大門)をくぐって参道を抜け、仁王門に着きます。その先にある広場前の本殿階段を昇って御本尊に会うという流れが一般的です。実は、この順序には理由があります。その手がかりは仏教の世界観を描いた須弥山図です。

この図では、現世のはるか遠くの海上に須弥山という世界の中心にそびえる山があり、2匹の龍がふもとで邪鬼の侵入を防いでいます。山道を登って山頂に着くと待っているのは帝釈天です。

ここで前世の検査を受け、「とうりてん」という広場に通されます。すると、天界から仏たちが迎えに来てくれるという流れになっているのです。

もうおわかりでしょう。お寺の総門や大門に2匹の龍が描かれていれば、そこは須弥山の入口です。参道はさんどうと読みますから、山道と読みかえることができます。山伏修行で有名な羽黒山で、修験後の帰路を産道(修行でうまれかわったという意)と呼ぶのと同じです。

仁王門の両側では、阿形と吽形の仁王像が睨みを利かせています。二身一体の仁王は帝釈天の変身した姿です。この門の先にある広場が忉利天。そこから本殿の階段を上れば、天界から来た御本尊に会えます。つまり境内は、須弥山図をなぞっていると考えられるのです。

古代、寺の多くは山にあったので、参拝者は須弥山を上る臨場感を強く感じたことでしょう。しかし平地にある現在のお寺、たとえば浅草寺などでも十分、須弥山の世界を体験できます

寺号の上に山号がつくのも納得できるでしょう。これは、わたしたちスタジオワークがフィールドワークで得た考え方です。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 建築の話』著/スタジオワーク

【書誌情報】
『図解 建築の話』
著者:スタジオワーク

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