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日本のお城にみられる沢山のスピリチャルな要素とは?【建築の話】

城は家相を考えて築かれた

家相は、土地や家の間取りによって住む人の運気や吉凶を占い、判断の助けとするものです。住宅だけでなく、お城でもその原理はまったく同じ。むしろ生死をかけた戦いの場であるお城だからこそ、運を味方につけようと配慮するのは当然のことでした。

家相術には、凶方軸と吉方軸はたすき掛けに存在するという考えかたがあります。一般的には、本丸を中心として北東(丑寅)から南西(未申)にかけてが凶方軸となり、南東(辰巳)から北西(戌亥)に抜けるのが吉方軸です。

鬼は角を好むといわれていたところから、凶方軸である北東の隅を鬼門、反対の南西の隅を裏鬼門とする習慣がうまれました。石垣を積むとき、北東の出で隅(凸になっている角)を入隅(凹になっている角)にすると、鬼はUターンして入り込めないとされたのです。また、鬼は猿を嫌うともされたので、猿田彦神社を祭る城もありました。

京都御所と比叡山を結ぶ東北軸には、鬼門封じの猿ヶ辻、幸神社、赤山禅院が配置されています。いずれも祭るのは猿です。吉をもたらす気は吉方軸である南東から吹き込まれるので、城門は南東に設置されます。そして、そのよい気が逃げないよう、反対の北西に蔵や櫓を築いたのです。

江戸城を見れば一目瞭然です。北東の石垣は入隅、南東には大手門、北西には大櫓の天守閣がそびえていました。門の石垣に大きな鏡石を積んでいるのは、門から強引に侵入する邪気をはね返すためのもの。

家相を見ることで、武術に長け、心身を鍛えた屈強な武士も、その内心はおだやかではなかったことがわかります。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 建築の話』著/スタジオワーク

【書誌情報】
『図解 建築の話』
著者:スタジオワーク

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