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建築を強固にする「ラーメン構造」とは?【建築の話】

自由な間取りとピロティは木造建築の発想

鉄筋コンクリートは、鉄筋(引っ張る力に強い)にコンクリート(圧縮する力に強い)を流し込み、型枠に入れて固めるものです。見かけは石の塊のようですが、その実用化で重要だったのは石造ではなく、木造建築の考え方でした。

なぜなら、石造建築のような厚い壁で建築物を支える構造(壁構造)で鉄筋コンクリートの建築物をつくると、天井や床を支えるために、室内に多くの壁が必要になってしまうからです。解決のヒントは木造建築にありました。

太いコンクリート柱を約7メートルほどの間隔で立て、柱と梁で支える構造にすれば、壁がなくても済むのです。これをラーメン構造と呼びます。ラーメンとは食べ物ではなく、額縁を意味するドイツ語です。この構造によって間取りの制約は少なくなりました。大きな窓をつけたり、1階部分をピロティ(柱だけの空間)にして、駐車場がつくれるようになったのです。

1927年、20世紀初頭を代表する建築家ル・コルヴィジェは現代建築5原則を、①ピロティ、②屋上庭園、③自由なプラン、④水平連続窓、⑤自由なファサード(正面の立面)と定義しました。これはラーメン構造の出現で可能になった形式です。

著名な建築家ブルーノ・タウトは京都の桂離宮を訪れたとき、真壁造の和風住宅を「現代建築の真髄を見る思いだ」と絶賛しました。ラーメン構造は木造建築の架構と同じ考え方だったのですから、当然の評価といえるでしょう。

日本の寝殿造の住宅は、現代建築の5原則のうち屋上庭園以外の四つを1000年以上前から実現していたのです。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 建築の話』著/スタジオワーク

【書誌情報】
『図解 建築の話』
著者:スタジオワーク

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