伝統工法、在来工法、2×4工法の違いは
伝統建築工法は、古民家に見られる昔ながらの木組み工法です。柱と梁などの継ぎ合わせに釘は極力つかわず、凸(ほぞ)と凹(ほぞ穴)のように刻んだ木を組み合わせて固定します。そのため接合部は柔軟になり、地震の揺れも柔らかく受け流すことができます。
土台も、地盤に平らな玉石を置いて柱をのせるだけで、固定しません。地震の際は、少し浮き上がって地盤から離れることで揺れをかわすのです。在来軸組工法は、伝統建築工法をベースにしながら、柱や梁などの継ぎ合わせ部分や、基礎と土台の間を金物やボルトで固定するものです。
筋交いや骨組みの隅には火打や方杖と呼ばれる斜材を入れます。三角形型の構造で、地震をガッチリ受け止める剛構造になります。ツーバイフォー(2×4)工法は、2インチ×4インチの角材を四隅の骨とした合板パネルをつなぎ合わせて壁や屋根を、ダンボール箱のように組み合わせる工法です。
最大の特徴は、柱や梁を用いる必要がないところ。外からの力に六面一体で対応するため、地震に強く、しかも断熱効果の高いパネルがつかえるのもメリット。ただし、壁面で支える構造のため、プランの自由度や変更は限定されます。
これに対し、柱と梁で建物を支える伝統工法や在来軸組工法は、間取り変更がしやすく、風や光を入れる開口部を広くとれるため、結露の心配が少ないというのが違いです。
ちなみに2×4工法に柱や梁の補強をして開口部を広げたり、在来軸組工法にパネル板を組み合わせるといった応用もできます。どれを採用するかは、立地や住み手の考え方次第です。
『建築の話』はこんな人におすすめ!
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以上の方には「図解 建築の話」は大変おすすめな本です。
「うだつが上がらない」は建築からうまれた言葉?
本書、「図解 建築の話」では建築について様々な知識を提供していますが、ここではその中でも日常生活でもなじみのある「うがつが上がらない」という言葉について、ご紹介しましょう。
「うだつの上がらない人だ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。うだつは漢字で「卯建」と書き、日本家屋に見られる設備です。うだつは防火設備だと解説されることがありますが、当初の目的は違いました。
中世から近世にかけての町家の屋根は、多くが板葺きでした。強い風にあおられると、めくれあがってしまいます。これを防ぐため、茅などを束ねて屋根を押さえたのが、うだつの始まりです。そもそも可燃性ですから、防火機能はほとんどなかったと考えられます。江戸時代に入ると、壁が漆喰塗りになり、屋根は瓦になって、町家の防火性は高まりました。しかし、軒裏部分は火が走りやすいので、袖壁を外に出し、漆喰で固め、延焼を防ぐ「袖うだつ」が登場します。
うだつが防火設備から意匠をこらしたものをにかわったわけ
このころ、うだつが防火設備になったのです。火事が多いのは冬ですから、袖うだつは冬に風が吹く側につければこと足ります。しかしそれではバランスが悪いので、厚みの違うものを両サイドにつけるようになりました。よく観察すると、風下側のうだつは薄く、風上側は火に耐えるよう厚く、つくられていることがわかります。
とはいえ、このようなうだつを設置するのにはそれなりの費用がかかります。そこから「うだつの上がっている家は成功している」というイメージが浸透し、「うだつが上がらない」という表現がうまれたようです。そのためか、現在も残っているうだつの多くは、本来の機能とは別にうだつの壁面には細かい装飾や小屋根に意匠を凝らしたものとなっています。
あなたの好奇心をくすぐる建築のトリビアが満載です
只今紹介した「うだつ」という言葉の由来だけでなく、本書では建築の様々な知識を紹介しています。その数実に60個です!以下の5つのパートに分けて紹介をしているため、気になるパートから読むことが可能です。
「①日本の建築は知らないことだらけ」「②こんな目で見ると近・現代建築も面白い」「③寺社はこだわりの世界」「④城・庭が育んだ日本の美意識」「⑤建築を支えた縁の下の力持ち」の5章にわたって、日常生活において切手は切り離せない「建築」の奥深い世界を図解で分かりやすく解説します。
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【書誌情報】
『図解 建築の話』
著者:スタジオワーク
身近な建物が楽しくなる。ナゾとギモンを一挙解決!屋根の形は、どうやって決まるの? 正面だけが西洋風の看板建築って、どんな構造? うだつが上がらないの、うだつって何? 日本の建築をテーマに、さまざまな建築のナゾを楽しく解き明かします。古民家から、お寺、神社、城、庭、代表的な近・現代建築まで、建築家ならではの視点で、建築物の見方、楽しみ方を図解します。理系の知識がなくても大丈夫。私たちの生活や伝統美など、暮らしの文化に根ざした日本建築のスゴさと面白さがわかります。建築士しか書けない精緻なイラストを満載。60項目で楽しむ建築エンターテインメント本です。
公開日:2022.10.24