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スピリファー【古生物の話】

Text:大橋智之

古生代の海底にいた流体力学の天才デザイナー

スピリファーは腕足動物(わんそくどうぶつ)に分類されます。登場したのは古生代シルル紀の海底ですが、もっとも繁栄したのはデボン紀(約4億1900万年前から約3億5980万年前)でした。

腕足動物は2枚の殻があり、見た目は二枚貝そっくりです。しかし貝類を含む軟体動物には属しません。

二枚貝との違いは、腹と背中に殻があることで、二枚貝は体の左右が殻になっています。殻を開けると口を囲む細かい触手の輪(触手冠)があるのがわかります。

もうひとつの大きな違いはエサの呼び込みかたです。二枚貝は筋肉(貝柱)などの器官を使って自在に殻を開閉させ、まわりの状況に応じて隙間から海水を取り込み、外に出しています。

しかし腕足動物にはそうした循環機能がないので、殻を開いた状態でエサを待ち、触手を使ってせっせとエサを選ぶ必要がありました。いわば、潮の流れ任せの生態だったのです。

しかし、この生態のおかげで、腕足動物は殻の形状が多様に進化することになります。

スピリファーは古生代デボン紀の海底で、自分が住む海底の潮の流れに適した殻の形状をもつことに成功した、流体力学の天才デザイナーでした。スピリファーの殻の微妙なカーブは、水の圧力差をつくり、まわりの水を内側に引き込む絶妙なデザインになっています。

さらに、取り込んだ水流は触手冠のまわりで渦を巻くことも明らかになりました。そうすることで、エサを選びやすくしていたのでしょう。スピリファーのエサは、海や河川に流れ出したデボン紀特有の陸上の緑が生み出した微小な有機物でした。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話』
著者:大橋智之  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
大橋智之(おおはし・ともゆき) 北九州市立自然史・歴史博物館 学芸員。古脊椎動物担当。1976年、福島県生まれ。東北大学理学部卒。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。日本古生物学会会員。


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