近年広がる若者の損失回避傾向とは
損失回避傾向はシニア層と女性が強くもつ心理ですが、最近は10代、20代の若者の間にも広まっています。損失回避性が強い層を見ると、10代、20代と60代、70代が高い傾向にあります。人の損失回避性は幅広く広がっています。
最近の若者は車をもたない、海外旅行に行かない、高級ブランド品を買わない、またギャンブルをやらない傾向が顕著です。博報堂生活総研「生活定点1992-2020」によると、ギャンブルが好きなほうだと回答した20代は1996年では23.1%、2000年には19.0%、2010年には16.0%、2020年には8.0%と近年は低い水準で推移しています。
若者(特に男性)は以前に比べ「損をしたくない」という気持ちが強く育っており、ギャンブルのような構造はマッチしないのです。
金銭面・文化面での変化が影響!好景気の時代バブル景気とは?
こうした背景は不景気による雇用の悪化、所得の低下があるでしょう。リスクが伴う娯楽よりもお金がかからない娯楽に気持ちが向くのは当然です。文化の変化もあります。昭和から平成にかけてのバブル景気では「ムダがカッコイイ」という風潮がありました。見栄で車を買って、博打をする。そうしたスタイルが景気の衰退とともに輝きを失ったのです。
日本におけるバブル景気とは1986年~1991年に起こった好景気と社会現象のことをいいます。株や不動産を中心とした資産の過度な高騰が起こりました。都心には「億ション」が並び、企業でも大量の雇用を生みました。実態と価値がかけ離れていることで泡(バブル)と称されました。
バブル経済期とは大きく異なる今、20代の男女は、損するものに対して興味がなくなり、ギャンブルなどリスクを伴うものを避ける傾向にあります。
「ゼロからわかる 知らない損する 行動経済学」はこんな方にオススメ!
・行動経済学を学んでみたい!
・最近の若者はお金を使いたがらないのはなぜ?
・ビジネスに行動経済学を取り入れてみたい
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そう感じている方にはぜひ本書『知らないと損する 行動経済学』を手に取っていただけたらと思います。
出典:『ゼロからわかる 知らないと損する 行動経済学』著/ポーポー・ポロダクション
【書誌情報】
『ゼロからわかる 知らないと損する 行動経済学』
ポーポー・ポロダクション 著
コロナ禍により、さらに注目を集めている行動経済学。消毒液をプッシュするとおもしろい音が出ることで、手指の消毒を促進したり、レジ前に足跡のマークをつけてソーシャルディスタンスを保ったり。行動経済学は難解な経済の話だと思われることもありますが、そんなことはありません。「1980円はなぜか安く感じる」「中古品の買取価格に毎回満足できない」「投票の話を聞くだけで投票率が上がる」など、「つい、○○してしまう」という人の不思議な行動を扱う、身近なテーマです。本書ではお金と心理の話を中心に、そんな行動経済学のおもしろさが伝わる内容となっています。初心者の方はもちろん、行動経済学への理解を深めたいと考える方にもおすすめしたい一冊です。
公開日:2022.09.20