iDeCo、つみたてNISAは税金、換金性、積み立て額などで魅力が異なります
iDeCoとつみたてNISAに共通する主な魅力は、「利益に税金がかからない」ことです。通常、資産運用で得た利益には約20%課税されます。株式投資はもちろん、投資信託の利益や預金の微々たる利息にも税金はかかります。しかし、iDeCoとつみたてNISAでは、どれだけ利益が出ても非課税です。たとえば、100万円の利益が出た場合、通常の課税口座では約20万円が税金として引かれてしまいますが、iDeCoやつみたてNISAでは利益に税金がかかりません。
当然ながら、利益が大きくなればなるほど非課税のメリットも大きくなります。ただし、iDeCoの場合は、老後に受け取る際には、利益の額に関係なくすべての元本と利益が課税対象です。ただ、受け取る際にも税制優遇措置を受けられるので、実質的には非課税で受け取ることができるケースもあります。
●iDeCoなら毎年の所得税と、さらに住民税も軽減!
iDeCoにはつみたてNISAにはないメリットがあります。最も大きなメリットは、給与から天引きされて支払っている所得税と住民税を軽減できることです。会社員なら、もともと、お給料から一定の税率で所得税と住民税が天引きされますが、お給料の全額に対して税率が計算されているわけではありません。『毎年受けられるiDeCoの節税効果』図のように、厚生年金保険料や健康保険料といった社会保険料などの各種控除を差し引いた課税所得をもとに計算されています。
iDeCoに加入すると、積み立てたお金の全額を社会保険料と同じように年間収入から差し引けるのです。税額を計算するモトとなる課税所得が少なくなるぶん、支払う税金が安くなります。もちろん個人事業主も所得税・住民税が安くなります。利益が非課税となるメリットは、資産を売却して利益を受け取る段階になって初めて享受できますが、iDeCoの所得控除のメリットはお金を積み立てている間、毎年受けられます。
たとえば、年収が500万円の人が毎月2万3000円をiDeCoに積み立てた場合、所得税と住民税合わせて年に5万5200円も節税できます。これを30年継続すれば、約165万円以上も税負担が軽減されます。所得税率は収入の額によって異なりますが、住民税率は一律10%。ごく単純に計算すると所得税率が最低の5%の人ならiDeCoに積み立てたお金の15%、10%の人なら20%が返ってきます(他の控除は考慮せず)。所得税は払い過ぎたぶんが年末調整で還付され、住民税は翌年の天引き額が軽減されます。
【出典】『ほったらかしで3000万円貯める! お金と投資の超入門』
監修:坂本綾子/ファイナンシャルプランナー(日本FP 協会認定CFP Ⓡ) 日本文芸社刊
監修者プロフィール
明治大学在学中より、雑誌の編集に携わり、卒業後にフリーランスの雑誌記者として独立。1988 年より女性誌、マネー誌にて、お金の記事を執筆。1999年にファイナンシャルプランナー資格取得。2010年にファイナンシャルプランナー坂本綾子事務所を設立し、執筆に加えて、家計相談やセミナー講師も行なう。2012 年よりフォスター・フォーラム(良質な金融商品を育てる会)の活動に参加、消費者教育を担当。近著に『年収200 万円の私でも心おだやかに毎日暮らせるお金の貯め方を教えてください!』(SB クリエイティブ)、『まだ間に合う! 50 歳からのお金の基本』(エムディエヌコーポレーション)、『節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本』(朝日新聞出版)などがある。
書籍情報:『ほったらかしで3000万円貯める!お金と投資の超入門』
監修:坂本綾子/ファイナンシャルプランナー(日本FP 協会認定CFP Ⓡ)
もうお金で困らない、お金の不安を一掃! 知識ゼロ、貯金ゼロでもOK! ムリなく確実に、ほったらかしでドンドン貯まる「iDeCo(イデコ)」と「つみたてNISA(ニーサ)」のしくみと始め方をトコトンやさしく解説しました。いま、話題の「iDeCo」「つみたてNISA」は積み立て投資の最強ツールです。月3万円の積み立てでも、35年後には2700万円に!(年利4%で運用)。ほったらかしで3000万円を貯めるノウハウを存分に教えます。さまざまなシミュレーションのほか、成功例や失敗例、うまくいく「iDeCo」と「つみたてNISA」の始め方、失敗しない商品の選び方、選ぶべき厳選10本など、成功するために知っておきたい知識とテクニックが満載です。キーワードは、長期、分散、積み立て投資。投資に手間や時間をかけない、あてにいかない、予想をしない、なるべく早く初めて、長く続けること。ズバリわかる! ラクして大きく増やす、ズボラさん向けの投資術です。これからお金を増やしたい人、貯めたい人、必読です。
公開日:2022.05.23