子(し)曰(いわ)く、学(まな)んで思(おも)わざれば則(すなわ)ち罔(くら)し。思(おも)うて学(まな)ばざれば則(すなわ)ち殆(あや)うし。
<訳>先生がいわれた。教えられたことを学ぶことや、本を読むだけで、さらに深く思索をしなければ、知識を得るだけになってしまう。また、考えるだけで自分勝手に思い込んでしまうのは危ないものだ。
学ぶことの基本姿勢について述べています。
孔子が考える、学ぶということは、先生に教えてもらったり、本を読んだりすることだけではなく、さらに自分で考えて自分なりの考え方をもつことをいっています。どちらか一方だけでは、真の学問とはいわないのです。
現代は、インターネットを使えば、ほとんどの知りたいことは瞬時にわかります。知識を得るだけなら、インターネットのほかにも、本を読んだりすればよいわけです。
しかし学問とは、ただ知識を得るだけではだめなのです。知識は物事を考えるための素材でしかないのですから、知識を整理して自分なりの考えをもつことが必要なのです。
それなら、知識はなくとも自分で考えればよいではないかと思うかもしれませんが、それでは思い込みに陥って、独断専行となってしまいます。
独断専行は、間違った考えにとらわれて危険だということも、孔子はいっています。
学ぶことと、思うこと、その両方が車の両輪のように備わってはじめて、人間として正しい方向へ進んで行くのです。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 論語』
監修:山口謠司 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
1963年長崎県生まれ。博士(中国学)。大東文化大学文学部大学院、フランス国立高等研究院人文科学研究所大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現大東文化大 学文学部中国学科准教授。 主な著書に『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ』(ワニブックス)、『日本語を作った男 上田万年とその時代』(第29回和辻哲郎文化賞を受賞。集英社インターナショナル)、『日本語の奇跡〈アイウエオ〉と〈いろは〉の発明』『ん─日本語最後の謎に挑む─』『名前の暗号』(新潮社)、『てんてん 日本語究極の謎に迫る』(角川書店)、『日本語にとってカタカナとは何か』(河出書房新社)、『大人の漢字教室』『にほんご歳時記』(PHP 研究所)、『漢字はすごい』(講談社)、『語彙力のヘソ』(徳間書店刊)、『おとなのための 1 分読書』(自由国民社)など著書多数。
2500年の時を超え、「聖書」と並び読み継がれてきた孔子の言葉を著した『論語』。「人生最高の教え」と賞される、この全20章500余の短文から現代により通じる「珠玉の言葉」を厳選して紹介、図解でわかりやすくまとめた1冊!
公開日:2023.02.27
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