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政変は蛮勇・董卓の出番を用意する【図解 三国志】

Text:澄田 夢久

三国志のはぐれモノが登場

愚昧な霊帝も、中平六年(189)、死の床に就く。やれ一安心かと思えば然さにあらず。何進と宦官の死を賭した攻防が顕わになるのだ。食肉業出身の何進は、妹が霊帝の長男辨を生んで皇后(何后)になったため、外戚として大将軍に栄進した成り上がりである。

ところが、霊帝には、ほかに寵愛した王美人に協が生まれていた。何后は嫉妬のあまり王美人を毒殺する。古代中国では前漢の高祖劉邦の皇后(呂雉)を始めとして、嫉妬から相手を殺す無残な事件が多い。

さておき、辨が皇帝になると外戚の何進が一手に権力を握る。宦官にとっては由々しき事態だ。そこで謀はかったのは何進を誅殺することだった。霊帝は辨よりも協を愛していた。重体の枕元で中常侍の蹇碩が囁く。

「協さまを皇帝に立てたいと思し召しであれば、後顧の憂いを除くために何進を亡き者にすることです」霊帝は頷き、やがて崩御した。蹇碩は十常侍と密に打ち合わせ、霊帝の喪を秘匿して何進を呼び、その場で殺害する謀はかりごとを練った。

が、何進も、司馬の潘隠の注進によって宦官らの悪心、また霊帝の死も知る。何進は朝廷に巣食う害虫・宦官を皆殺しにすべしと、主だった武将を自邸に呼び寄せた。そこへ宮中から使者が到着する。

使者の伝令は、「皇帝が崩じられたあとの後事を定めたい。参内されたし」だった。その場に居合わせた曹操は、「まず天子の位を正すことが大事です。辨さまが皇帝とならなければ長子相続の範が壊れます。それを明らかにし、不平を述べる逆臣宦官を退治するがよろしいのではないか」と具申した。

大きく頷いた何進は、「わしとともに参内し、宦官を討つ者はおらんか」と周りの諸将を睨ねめ回す。そこに名乗り出たのが、姓は袁、名は紹、字は本初。袁紹は、四世三公(四代にわたって後漢朝廷の三公)の家柄を誇る。

「五千の精鋭をお貸しくだされ。さすれば宮中に切り込み宦官を根絶やしにし、辨さまを新帝に立てて天下を安んじさせましょう」蹇碩らの何進殺害の謀計は成功せず、辨は即位して小帝となる。

一大事の上奏文は頻々と朝廷に届けられたが、ことごとく十常侍は握りつぶす。霊帝は一人蚊か帳やの外で酒宴に遊ぶ始末。見兼ねた清廉の官僚が諌めると、宦官の肩を持つ霊帝に処刑されるという愚挙に遭う。

蹇碩は首を刎ねられ、次は宦官の番だったが、宦官もしたたかだ。黙って斬られはしない。何太后(霊帝崩御で太后)に泣きつき、何進に一度は宦官誅滅を思いとどまらせることに成功する。それが何進の命取りとなった。宮中に呼び込まれ、安心しきっていたところを宦官張譲らに惨殺されたのだ。

英雄の資質を持たない何進は、しょせんは小物である。いや、小物以上に愚かだった。宦官退治の後ろ盾に諸侯を呼び寄せていたのだ。ようやく梟雄董卓の出番がやってきたのである。

『図解 三国志』はこんな人におすすめ!

・中国の古い歴史に興味がある!
・昔の人は何のために争っていたのか?
・三国時代や格言について学びなおしたい

と感じている方には大変おすすめな本です。

魏・蜀・呉、三国の興亡を描いた『三国志』には、「桃園の誓い」「三顧の礼」「出師の表」「泣いて馬謖を斬る」など心打つ名場面、また「水魚の交わり」「苦肉の策」「背水の陣」「髀肉の嘆」など名言や現代にも通じる格言も数多く登場する。また、曹操、劉備、孫権、孔明、関羽、張飛、趙雲、周瑜、司馬懿など個性豊かで魅力的な登場人物に加え、官渡の戦い、赤壁の戦い、五丈原の戦い等、歴史上重要な合戦も多い。英雄たちの激闘の系譜、名場面・名言が図解でコンパクトにすっきりわかる『三国志』の決定版!

シリーズ累計250万部を突破した「図解シリーズ」の読みやすさ

図解シリーズは、右側に文章、左側に図解で解説という形で構成されているので、本が苦手な人にも理解しやすい内容です。

図解シリーズには、健康・実用だけではなく大人の学びなおしにピッタリな教養のテーマも満載。さくっと読めてしまうのに、しっかりとした専門家の知識を身につけることができるのが最大の魅力です!

気になる中身を少しだけご紹介!中国では、「革命」によって新たな王朝に禅譲されるのが約束事

『三国志』は「紀伝体」で書かれました。帝の記録「本紀(略して紀)、それ以外の人物の記録「列伝(略して伝)」で構成される歴史書です。陳寿は『三国志』を書くに際してあれこれ惨憺したらしい。魏の曹操(155~220)没後、息子の曹丕(187~226)が皇帝を名乗り、であればと蜀の劉備(161~223)、次いで呉の孫権(182~252)も皇帝を名乗った。

でも、三国に帝(皇帝)がいるというのは古来の中国ではあってはならないこと。天が命じた天子に地上を治めさせるので、天子は一人でなければならなかった。しかし、その天子が徳を失えば、徳のある天子に禅譲することになります。だから陳寿は、後漢の献帝(181~234)から禅譲(実際は簒奪)されたとする魏を正統とすることによって、魏から禅譲(これも簒奪)されたとする西晋を正統とせざるを得ない。

ほんとうは後漢の正統を継いでいるのは、漢王室の末裔とされる劉備が興した蜀と思っていても、陳寿はそうは書けない。故国蜀の滅亡で晋に職を求め、史官として三国の歴史を書くために仕えている身としては、晋朝廷から覚えめでたくあらねばならない、きっとそう悩んだ。

結局、陳寿は「魏書」に「本紀」を置かざるを得ず、「武帝紀(曹操)」「文帝紀(曹丕)」から最後の皇帝「元帝紀(曹奐)」まで著しました。じゃあ、劉備や孫権をどう扱ったか?「蜀書」に「先主伝」を立て、劉備を“先主”と呼ぶ一方、「呉書」の「呉主伝」では孫権は一貫して“権”。「列伝」では当該人物名を生前名の諱で呼ぶのが原則なのに、劉備に関してはその慣例を無視。まさに陳寿は蜀びいきなんですね。

★三国志演義の物語
★赤壁の戦いの真実とは?
★三国志の始まりとは
★知っておきたい軍事制度とは

などなど気になるタイトルが目白押し!

『三国志』には、心打つ名言や現代にも通じる格言が多くあります。曹操、劉備、孫権、孔明、関羽、張飛、趙雲、など魅力的な登場人物に加え、官渡の戦い、赤壁の戦い、五丈原の戦い等、名場面を図解でわかりやすく解説しているので「三国志」の学び直しに是非読んでいただければ幸いです。

【書誌情報】
『図解 眠れなくなるほど面白い 三国志』
渡邉義浩 監/澄田夢久 著

魏・蜀・呉、三国の興亡を描いた『三国志』には、「桃園の誓い」「三顧の礼」「出師の表」「泣いて馬謖を斬る」など心打つ名場面や「水魚の交わり」「苦肉の策」「背水の陣」など名言や現代にも通じる格言も数多く登場する。曹操、劉備、孫権、孔明、関羽、張飛、趙雲、周瑜、司馬懿など個性豊かで魅力的な登場人物に加え、官渡の戦い、赤壁の戦い、五丈原の戦い等、歴史上重要な合戦も多い。英雄たちの激闘の系譜、名場面・名言が図解でコンパクトにすっきりわかる『三国志』の決定版!

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