三国志の主役たちが続々登場
諸侯が頼りにならぬと唾棄した曹操は、一万余の自軍のみにてその夜のうちに董卓追撃を開始した。だが、血気にはやって策を用いず突進したため、呂布に後方を固められて散々に打ち破られてしまう。
徐栄の放った矢で肩を射られ、もはやこれまでかと天を仰いだ。そこへ駆けつけてきたのが、夏侯惇と夏侯淵。徐栄を刺し殺し、曹操の危機をかろうじて救ったのである。
そのころ、諸侯の本陣では皇帝に代々受け継がれてきた「伝国の玉ぎ璽」をめぐって騒動が起きていた。洛陽一番乗りを果たした孫堅が、古井戸の中から玉璽を発見し、密かに所持して長沙に引き上げようとしていた。それを密告で知った袁紹に咎められたのだ。
しらばくれる孫堅、言い逃れはさせぬと袁紹。互いに刀に手をかけるほどの緊迫は、諸侯たちの肝煎りでようやく矛を収めたが、たちまち孫堅は陣を引き払い洛陽から去っていく。腹の虫が治まらぬ袁紹は、荊州の劉表へ書状をしたため、孫堅が荊州を通るときに玉璽を奪い取るよう懇請したのだった。
曹操は矢傷をいたわりながら本陣に戻り、宴席で袁紹らへ恨み言を述べ、董卓を打ち滅ぼしての事の成就は叶わぬと慨嘆。諸侯と袂を分かち自軍を率いて揚州に引き上げて行く。公孫瓚も「袁紹には覇気がない。
長居をすれば異変が起ころう。われらもひとまず引き上げることにしよう」と劉備らと北を目指す。その途次、このころ青州に属していた平原に至るや、劉備を平原の国相に任じて、自らは本拠地の幽州へ戻るのである。
なおかつ、連合内では兗州刺史の劉岱が食糧をめぐって東郡太守の橋瑁を殺すという出来事が起こる。連合軍は統率が取れなくなり、袁紹さえも陣営を率いて関東へ退却していくのだ。反董卓連合の崩壊であった。
さて、劉表は袁紹の書状を読むとただちに出陣し、孫堅詰問に出向く。二人の「玉璽を出せ」「知らぬ」の問答はついに刃を合わせるところとなる。孫堅は危うく難を逃れて長沙へ戻ったが、以後、劉表とは仇敵となる。
ところが、袁紹と仲違いした袁術が劉表とも行き違い、孫堅を使嗾して劉表討伐への兵を挙げさせる。孫堅は劉表軍を打ち破ったものの、勢い余って単騎駆けしたため黄祖の伏兵に射殺されてしまう(襄陽の戦い)。
一方、献帝、三公九卿を引き連れて長安に覇を唱えていた董卓は、「孫堅死す」の報で溜飲を下げ、驕慢さらに深まり、世に言う「酒池肉林」に溺れる日々。かたや司徒の王允は、後漢の獅子身中の虫、董卓を殺害できぬものかと鬱々の日々。はたと浮かんだ一計は、貂蝉を使って董卓と呂布を争わせること。貂蝉は屋敷の歌妓、器量は他を寄せ付けぬ。はてさて、首尾はどうなることか。
『図解 三国志』はこんな人におすすめ!
・中国の古い歴史に興味がある!
・昔の人は何のために争っていたのか?
・三国時代や格言について学びなおしたい
と感じている方には大変おすすめな本です。
魏・蜀・呉、三国の興亡を描いた『三国志』には、「桃園の誓い」「三顧の礼」「出師の表」「泣いて馬謖を斬る」など心打つ名場面、また「水魚の交わり」「苦肉の策」「背水の陣」「髀肉の嘆」など名言や現代にも通じる格言も数多く登場する。また、曹操、劉備、孫権、孔明、関羽、張飛、趙雲、周瑜、司馬懿など個性豊かで魅力的な登場人物に加え、官渡の戦い、赤壁の戦い、五丈原の戦い等、歴史上重要な合戦も多い。英雄たちの激闘の系譜、名場面・名言が図解でコンパクトにすっきりわかる『三国志』の決定版!
シリーズ累計250万部を突破した「図解シリーズ」の読みやすさ
図解シリーズは、右側に文章、左側に図解で解説という形で構成されているので、本が苦手な人にも理解しやすい内容です。
図解シリーズには、健康・実用だけではなく大人の学びなおしにピッタリな教養のテーマも満載。さくっと読めてしまうのに、しっかりとした専門家の知識を身につけることができるのが最大の魅力です!
気になる中身を少しだけご紹介!中国では、「革命」によって新たな王朝に禅譲されるのが約束事
『三国志』は「紀伝体」で書かれました。帝の記録「本紀(略して紀)、それ以外の人物の記録「列伝(略して伝)」で構成される歴史書です。陳寿は『三国志』を書くに際してあれこれ惨憺したらしい。魏の曹操(155~220)没後、息子の曹丕(187~226)が皇帝を名乗り、であればと蜀の劉備(161~223)、次いで呉の孫権(182~252)も皇帝を名乗った。
でも、三国に帝(皇帝)がいるというのは古来の中国ではあってはならないこと。天が命じた天子に地上を治めさせるので、天子は一人でなければならなかった。しかし、その天子が徳を失えば、徳のある天子に禅譲することになります。だから陳寿は、後漢の献帝(181~234)から禅譲(実際は簒奪)されたとする魏を正統とすることによって、魏から禅譲(これも簒奪)されたとする西晋を正統とせざるを得ない。
ほんとうは後漢の正統を継いでいるのは、漢王室の末裔とされる劉備が興した蜀と思っていても、陳寿はそうは書けない。故国蜀の滅亡で晋に職を求め、史官として三国の歴史を書くために仕えている身としては、晋朝廷から覚えめでたくあらねばならない、きっとそう悩んだ。
結局、陳寿は「魏書」に「本紀」を置かざるを得ず、「武帝紀(曹操)」「文帝紀(曹丕)」から最後の皇帝「元帝紀(曹奐)」まで著しました。じゃあ、劉備や孫権をどう扱ったか?「蜀書」に「先主伝」を立て、劉備を“先主”と呼ぶ一方、「呉書」の「呉主伝」では孫権は一貫して“権”。「列伝」では当該人物名を生前名の諱で呼ぶのが原則なのに、劉備に関してはその慣例を無視。まさに陳寿は蜀びいきなんですね。
★三国志演義の物語
★赤壁の戦いの真実とは?
★三国志の始まりとは
★知っておきたい軍事制度とは
などなど気になるタイトルが目白押し!
『三国志』には、心打つ名言や現代にも通じる格言が多くあります。曹操、劉備、孫権、孔明、関羽、張飛、趙雲、など魅力的な登場人物に加え、官渡の戦い、赤壁の戦い、五丈原の戦い等、名場面を図解でわかりやすく解説しているので「三国志」の学び直しに是非読んでいただければ幸いです。
【書誌情報】
『図解 眠れなくなるほど面白い 三国志』
渡邉義浩 監/澄田夢久 著
魏・蜀・呉、三国の興亡を描いた『三国志』には、「桃園の誓い」「三顧の礼」「出師の表」「泣いて馬謖を斬る」など心打つ名場面や「水魚の交わり」「苦肉の策」「背水の陣」など名言や現代にも通じる格言も数多く登場する。曹操、劉備、孫権、孔明、関羽、張飛、趙雲、周瑜、司馬懿など個性豊かで魅力的な登場人物に加え、官渡の戦い、赤壁の戦い、五丈原の戦い等、歴史上重要な合戦も多い。英雄たちの激闘の系譜、名場面・名言が図解でコンパクトにすっきりわかる『三国志』の決定版!
公開日:2023.02.11