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生物にとって毒だった!?酸素が生物にとって毒にもなりうる理由とは?【生物の話】

Text:廣澤瑞子

~原子生物と当時の地球環境~

植物が光合成によって作り出す酸素が存在するから、その酸素によって動物は生息できる─。この常識からすれば、酸素は生物にとってベビーフェイス(善玉)というべき存在です。しかし、一転して、酸素がまぎれもないヒール(悪玉)に豹変することがあります。毒といっても差し支えないでしょう。それは、酸素が化学的に非常に「反応性が高い」からです。

酸素はどんなものにも反応しやすいという性質があります。この酸素の持つ酸化力は、例えば、鉄が酸素と結びついて、酸化鉄(さび)になることを想像するとわかりやすいでしょう。

近年、特に注目されているのは、「活性酸素」といわれる酸素から派生した反応性のひときわ高くなった酸素の一群です。時には、その反応性をもって、体内に侵入したウイルスなどを破壊してくれる場合もありますが、しかし一方、自分自身の組織を傷つけてしまうこともあるのです。

活性酸素は、老化の原因の一つとして、さまざまな病気を引き起こすことがわかっています。また活性酸素の除去は、美容の面からも注目されているようです。サビでボロボロになる鉄のように、お肌がやられてしまうのでは、たまったものではありません。

このように高い酸化力をもった酸素は、生命誕生当時には、致命的な毒ガスでした。酸素の存在する環境では生きていけなかった生命の中から、やがて、酸素の持つ高い酸化力を逆手にとって、有効利用する術を獲得するものが現れたのです。酸素を利用してエネルギーを生産するシステムを獲得して、生物はさらに進化をとげていきます。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 生物の話』
監修:廣澤瑞子  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
横浜生まれ。東京大学農学部農芸化学科卒業。1996年、東京大学大学院農学生命科学研究科応用動物科学専攻博士課程修了。日本学術振興会特別研究員、米イリノイ大学シカゴ校およびドイツマックスプランク生物物理化学研究所の博士研究員を経て、現在は東京大学大学院農学生命科学研究科応用動物科学専攻細胞生化学研究室に助教として在籍。著書に『理科のおさらい 生物』(自由国民社)がある。


「人間は何歳まで生きられる?」「iPS細胞で薄毛を救う?」「三毛猫はなぜメスばかり?」「黒い花は世に存在しない?」ーー生命の誕生・進化から、動物、植物、ヒトの生態、最先端の医療・地球環境、未来まで、生物学でひもとく60のナゾとフシギ!知れば知るほど面白い!

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