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ペンギンが飛べなくなったのは進化なの?【生物の話】

Text:廣澤瑞子

~自然選択と生存競争~

陸上をヨチヨチ歩く姿は愛嬌たっぷり。ペンギンはその愛くるしい姿から、動物園でも大人気の動物です。でも、ひとたび海中に入ると……陸上では考えられないくらいの俊敏さを発揮して獲物を捕らえます。海を「飛ぶ」と形容したくなるような動き。それは、彼らがかつて空を飛んでいたことをほうふつさせます。

ペンギンは紛れもない鳥類。竜骨突起、微椎骨など飛翔の名残を体にとどめているため、かつては飛んでいたと考えられています。なぜ飛ぶことをやめてしまったのでしょうか。実はペンギンの進化の過程については、長年科学的に解明されていませんでした。近年ようやく、ペンギン同様、潜水能力に優れるハシブトウミガラスの行動調査・分析によって、ペンギンが飛べなくなった過程が判明しました。その研究によれば、ハシブトウミガラスの飛行時のエネルギー消費量は、鳥類の平均値と比較して格段に多かったのです。そこから得られる推論として、ペンギンも同様の状況下で体への負担が大きい飛行という手段を断念する方向に向かったと考えられます。

空を飛ぶことをあきらめたペンギンは、他の鳥類とは姿を変えていきます。体はだんだんと大きくなり、脂肪を蓄えるようになりました。羽は水かきに適した「フリッパー」に変わり、陸上では体を垂直にして立つようになりました。陸上の天敵が不在だったことも、そのような変化につながったと思われます。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 生物の話』
監修:廣澤瑞子  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
横浜生まれ。東京大学農学部農芸化学科卒業。1996年、東京大学大学院農学生命科学研究科応用動物科学専攻博士課程修了。日本学術振興会特別研究員、米イリノイ大学シカゴ校およびドイツマックスプランク生物物理化学研究所の博士研究員を経て、現在は東京大学大学院農学生命科学研究科応用動物科学専攻細胞生化学研究室に助教として在籍。著書に『理科のおさらい 生物』(自由国民社)がある。


「人間は何歳まで生きられる?」「iPS細胞で薄毛を救う?」「三毛猫はなぜメスばかり?」「黒い花は世に存在しない?」ーー生命の誕生・進化から、動物、植物、ヒトの生態、最先端の医療・地球環境、未来まで、生物学でひもとく60のナゾとフシギ!知れば知るほど面白い!

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