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旧約聖書とは?~成立~【聖書】

Text:渋谷伸博

数千年かけて作られた聖典

聖書は、旧約(きゅうやく)聖書と新約(しんやく)聖書という2つの聖典(せいてん)から成り立っています。

さらに旧約聖書は39巻(冊)、新約聖書は27巻(冊)の書物で構成されています。ここで注意をしなければならないのは、旧約聖書という呼称はキリスト教におけるものであり、ユダヤ教においては、そのようには呼ばないということです。

キリスト教では救世主(メシア=キリスト)であるイエスが神と人との間に新たな「契約」を結んだと考えるので、以前の契約という意味で「旧約」と呼びますが、ユダヤ教では今も旧約聖書に当たる部分のみが「聖書」です。本書では、キリスト教の立場に立って説明することにします。

さて、旧約聖書は人間を含む万物の創造で幕を開け、紀元前5世紀頃までのイスラエル民族(ユダヤ民族=ユダヤ人)と神との関わりの歴史が語られています。

文書として記録され始めたのがいつの頃かはわかりませんが、旧約聖書の中で最も古くに成立したと考えられる創世記(そうせいき)・出(しゅつ)エジプト記・レビ記・民数(みんすう)記・申命(しんめい)記(モーセ五書またはトーラーと呼ばれる)は、紀元前4世紀には正式な聖典として認められていました。

続いて神の言葉を人々に伝える役割を担った士し師(民族的指導者)や預言者たちの物語(士師記やイザヤ書など)が正典として認められました。紀元前3世紀頃のことです。さらに紀元前2世紀頃には詩編(しへん)や箴言(しんげん)、ヨブ記といった文学的な書物などが正典に加えられました。

これらの文書はヘブライ語で書かれていましたが、この地がギリシアの勢力下に入った紀元前3〜1世紀頃には、公用語となったギリシア語訳も作られました。

ところが、ギリシア語訳版にはヘブライ語版には含まれない文書も含まれており、どこまでを正典として認めるかが問題となりました。

 

紀元90年頃、エルサレム西部の町ヤブネ(ヤムニア)でユダヤ教の指導者たちが検討し、ヘブライ語で書かれた39巻のみを正典として認めることが決まりました。

その頃、すでに広域で布教活動をしていたキリスト教徒はギリシア語訳を用いていました。このため、この時正典として認められなかった文書も、続編(ぞくへん)(アポクリファ、外典=がいてん) と呼んで正典に準じる価値を認めています。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 聖書』
著者:渋谷伸博  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1960年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒。宗教史研究家。よみうりカルチャーなどで神話をテーマとした講座も開講している。著書多数。近著に『一生に一度は参拝したい全国の神社めぐり』『聖地鉄道めぐり』『神々だけに許された地 秘境神社めぐり』『歴史さんぽ東京の神社・お寺めぐり』(いずれもジー・ビー)、『あなたの知らない般若心経』(宮坂宥洪監修、洋泉社新書)、『諸国神社 一宮・二宮・三宮』(山川出版社)などがある。


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