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バベルの塔【聖書】

Text:渋谷伸博

世界にさまざまな言葉がある理由

箱舟から下りたノアは農夫となりました。ノアの*3人の息子はそれぞれ家庭をもち、その子孫から各地の氏族が誕生しました。

そして、世界はまた多くの人が住むようになったのです。

その頃、世界の人々は同じ言葉を使っていました。その言葉を使って人々は相談をし、町を建て始めました。

その町では石の代わりにレンガを使い、しっくいの代わりにアスファルトを使って強固な建物が造られました。

人々は、「さあ、天まで届く塔のある町を建て、有名になろう。そして、全地に散らされることのないようにしよう」と言い、巨大な塔の建設にとりかかったのです。

この様子を天から眺めておられた主なる神は、こう思われました。

「彼らは1つの民で、皆1つの言葉を話しているから、このようなことをし始めたのだ。これでは、彼らが何を企(くわだ)てても、妨げることはできない。我々は降って行って、直ちに彼らの言葉を混乱させ、互いの言葉が聞き分けられぬようにしてしまおう」 

言葉が通じなくなったため、人々は塔のある町を建設し続けることができなくなりました。

こうしたことからこの町はバベルと呼ばれるようになりました。神が人の言葉を混乱(バラル)させ、人を全世界に散らされたからです。

 

神に挑戦するという愚行を行なったため、その罰を受けることになったのです。 神の戒めに反してエデンの園を追放された過去の教訓を、人間は忘れてしまったのです。

用語解説 *3人の息子 長男セム(セム系諸部族の祖であり、アブラハムの先祖)、次男ハム(北アフリカの諸部族の祖)、三男ヤフェト(インド・ヨーロッパ諸部族の祖)のこと。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 聖書』
著者:渋谷伸博  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1960年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒。宗教史研究家。よみうりカルチャーなどで神話をテーマとした講座も開講している。著書多数。近著に『一生に一度は参拝したい全国の神社めぐり』『聖地鉄道めぐり』『神々だけに許された地 秘境神社めぐり』『歴史さんぽ東京の神社・お寺めぐり』(いずれもジー・ビー)、『あなたの知らない般若心経』(宮坂宥洪監修、洋泉社新書)、『諸国神社 一宮・二宮・三宮』(山川出版社)などがある。


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