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8.オリエントとは異なる地中海の明るい文明【世界史】

Text:鈴木 旭

伝説に彩られたクノッソス宮殿が物語る謎の民族・社会組織。

クレタ・ミケーネ文化はミノス・ミケーネ文化ともいう。ミノスとはクレタ島の王の呼称であり、「クレタ島の」という意味もあるためだ。

クレタ島はエーゲ海の南端にあり、東の小アジアへ約200キロ、南のエジプトへ300キロ、北のシリア南岸まで約500キロという地理的環境にあり、オリエント世界とギリシアを中心とする地中海的世界の中継地になっている。

また、島内にはそれなりの平野があり、農業生産にも適していたので一つのまとまりを持つ共同体を作りやすかったこともあり、紀元前2,000年頃から東地中海の中心的存在となる。クノッソス、マリア、ファイストスの三宮殿の建設は、その具体的かつ象徴的な表現であった。

前1,700年頃、これらの宮殿は地震や津波によって一斉に破壊されるが、以前を上回る大規模な宮殿に生まれ変わり、ミノス王が統治する国家となる。そのとき、キクラデス諸島、ギリシア本土の一部も支配下に入り、遺跡発掘者A・エヴァンズによれば、首都クノッソスは人口8万、当時は世界最大の都市だったという。

興味深いのは、クレタ島の宮殿は軍事的な配慮がまったくない反面、通風、採光、給排水には大きな関心が寄せられていたこと。大階段を巡らして吹き抜けを作り、各階層を縦に貫つらぬく採光用空間を設定し、陶製パイプをつないで給排水を行なった。開放的なエーゲ海らしい作りだった。

しかし、前1,600年頃、ギリシア本土のミケーネが急速にクレタ化して行った。優れた航海者であったクレタ人から航海術と交易を学び、やがて交易圏を拡大し、ギリシア各地で植民活動を開始。クレタ人に取って代わるようになる。

 

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界史』
著:鈴木 旭 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
昭和22年6月、山形県天童市に生を受ける。法政大学第一文学部中退。地理学、史学専攻。高校が電子工業高校だったためか、理工系的発想で史学を論じる。手始めに佐治芳彦氏と共に「超古代文化論」で縄文文化論を再構成し、独自のピラミッド研究から環太平洋学会に所属して黒又山(秋田県)の総合調査を実施する。以後、環太平洋諸国諸地域を踏査。G・ハンコック氏と共に与那国島(沖縄県)の海底遺跡調査。新発見で話題となる。本業の歴史ノンフイクション作家として、「歴史群像」(学研)創刊に携わって以来、「歴史読本」(新人物往来社)、「歴史街道」(PHP)、「歴史法廷」(世界文化社)、「歴史eye」(日本文芸社)で精力的に執筆、活躍し、『うつけ信長』で「第1回歴史群像大賞」を受賞。「面白いほどよくわかる」シリーズ『日本史』『世界史』『戦国史』『古代日本史』はロングセラーとなる(すべて日本文芸社)。他に『明治維新とは何だったのか?』(日本時事評論社)、『本間光丘』(ダイヤモンド社)など著書多数。歴史コメンテーターとして各種テレビ番組にも出演。幅広い知識と広い視野に立った史論が度々話題となる。NPO法人八潮ハーモニー理事長として地域文化活動でも活躍中。行動する歴史作家である。

いま地球規模の「人類史」という観点からも注目され、一方で一般教養、知識としても人気が高い「世界史」。世界規模の歴史を学ぶ上で大切なのは、歴史を流れとして捉えること、歴史にも原因と結果があり「なぜ」そこに至ることになったのか大もとの理由を理解すること、そして見ただけで忘れないようにビジュアルで視覚的覚えること。本書ではさらにアジアや日本の歴史とその役割にも重点を置き、最新の発見や新しい史論を取り入れた、世界史の学び直しにも、入門にも最適な知的好奇心を満足させる1冊。

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