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9.強引なオリエント統一を進める馬と鉄の民【世界史】

Text:鈴木 旭

アナトリア高原を制圧し、地中海諸都市に進出。エジプト新王国と対決する。

インド=ヨーロッパ語族は、前2,000年紀初めから原住地の中央アジアや南ロシアを離れ、馬と戦車でオリエント各地に侵入。新国家を建てる。その一つがヒッタイトであり、紀元前1,680年、小アジアのアナトリア高原に上がってヒッタイト古王国を建国している。

アナトリア高原は元々鉱物資源が豊富で、先住民のハッテイ人を征服したとき、製鉄技術を取得したのに続き、「鋼(はがね)」を発明したことで、鉄を強靭な武器にする技術を確立。馬と戦車に鉄の威力を加えて無敵の戦闘力を発揮するようになる。

また地中海に面するシリアやパレスチナなどの沿岸諸都市は、金やキプロスの銅、ミケーネの土器などを扱うカナン人やギリシアのミケーネ人の溜り場になっている。これらの諸都市と親しく交流し、味方にしたことがヒッタイトの南下、勢力拡大に弾みを付けることになる。

前1,430年頃、ヒッタイト新王国が成立。

間もなくエジプト新王国と激突を繰り返すようになるが、中でも前1,285年、ラムセス二世を撃退したカデシュの戦いは有名であり、ボアズキョイ(ヒッタイトの首都ハットウシャ)の公文書館に保存された粘土板文書やエジプトのカルナック神殿の壁画に刻まれている。

しかし、馬と戦車と鉄でオリエントを制圧し、エジプト侵入を成し遂げた無敵の戦闘力も「海の民」と言われる未知の集団の侵入を受け、いくつかの都市国家に分裂。前八世紀頃にはアッシリア帝国に吸収されて消滅している。恐れ気もなく侵入した「海の民」とは、正体不明の航海民、貿易集団、フェニキア人かもしれない。

武力は富の力には敵わないのか。

 

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界史』
著:鈴木 旭 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
昭和22年6月、山形県天童市に生を受ける。法政大学第一文学部中退。地理学、史学専攻。高校が電子工業高校だったためか、理工系的発想で史学を論じる。手始めに佐治芳彦氏と共に「超古代文化論」で縄文文化論を再構成し、独自のピラミッド研究から環太平洋学会に所属して黒又山(秋田県)の総合調査を実施する。以後、環太平洋諸国諸地域を踏査。G・ハンコック氏と共に与那国島(沖縄県)の海底遺跡調査。新発見で話題となる。本業の歴史ノンフイクション作家として、「歴史群像」(学研)創刊に携わって以来、「歴史読本」(新人物往来社)、「歴史街道」(PHP)、「歴史法廷」(世界文化社)、「歴史eye」(日本文芸社)で精力的に執筆、活躍し、『うつけ信長』で「第1回歴史群像大賞」を受賞。「面白いほどよくわかる」シリーズ『日本史』『世界史』『戦国史』『古代日本史』はロングセラーとなる(すべて日本文芸社)。他に『明治維新とは何だったのか?』(日本時事評論社)、『本間光丘』(ダイヤモンド社)など著書多数。歴史コメンテーターとして各種テレビ番組にも出演。幅広い知識と広い視野に立った史論が度々話題となる。NPO法人八潮ハーモニー理事長として地域文化活動でも活躍中。行動する歴史作家である。

いま地球規模の「人類史」という観点からも注目され、一方で一般教養、知識としても人気が高い「世界史」。世界規模の歴史を学ぶ上で大切なのは、歴史を流れとして捉えること、歴史にも原因と結果があり「なぜ」そこに至ることになったのか大もとの理由を理解すること、そして見ただけで忘れないようにビジュアルで視覚的覚えること。本書ではさらにアジアや日本の歴史とその役割にも重点を置き、最新の発見や新しい史論を取り入れた、世界史の学び直しにも、入門にも最適な知的好奇心を満足させる1冊。

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