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10.侵略者を一掃しエジプトの栄光を回復す【世界史】

Text:鈴木 旭

遊牧民ヒクソスに占領された郷土を奪還し再びテーベの神に捧げる。

紀元前1,720年頃、アジアから南下した種族がエジプトのデルタ地帯に侵入し、メンフィスを占領した。メンフィスはエジプトの首都ではないが、経済や宗教の要地であり、事実上、エジプトを占領したことと同じ意味を持っていた。

『エジプト王名表』の作者マネトンは、エジプトの新しい支配者となったアジア人を「ヒクソス」と呼んだ。ヒクソスは新王朝(第十五~十六王朝)を開き、デルタ地帯を拠点として、広く中部エジプトからシリアまで支配した。

しかし、テーベ(現在のルクソール)を拠点とするエジプトの王たちの間で独立の機運が高まり、ヒクソス勢力の駆逐に成功。間もなく上下エジプト統一し、第十七王朝を開く。そして逆にシリア、ヌビアに遠征して制圧。ついにはオリエントに君臨する帝国(第十八王朝)となる。

エジプト新王国時代の開幕である。

この時代を代表するのがトトメス三世だ。遠征の都度、膨大な戦利品をアメン神殿に奉納する。しかし、アメン神官団が急速に勢力を拡大し、王位すら左右するようになったため、アメンホテプ三世と四世は、アメン信仰を排し、アテン神信仰に切り替える。

しかし、その試みは失敗。再びアメン信仰が国家的祭祀の中心になり、混乱を収拾したラムセス一世が第十九王朝を開設。ラムセス二世は、その威信を示す巨大建造物を多数残していることが物語る通り、60年を超える治世を通じて「古代エジプト最大の王」と称賛された。

その後、第二十王朝ラムセス三世の治世が、古代エジプト最後の栄光となる。栄光あるエジプトの統一が回復することはなかった。

 

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界史』
著:鈴木 旭 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
昭和22年6月、山形県天童市に生を受ける。法政大学第一文学部中退。地理学、史学専攻。高校が電子工業高校だったためか、理工系的発想で史学を論じる。手始めに佐治芳彦氏と共に「超古代文化論」で縄文文化論を再構成し、独自のピラミッド研究から環太平洋学会に所属して黒又山(秋田県)の総合調査を実施する。以後、環太平洋諸国諸地域を踏査。G・ハンコック氏と共に与那国島(沖縄県)の海底遺跡調査。新発見で話題となる。本業の歴史ノンフイクション作家として、「歴史群像」(学研)創刊に携わって以来、「歴史読本」(新人物往来社)、「歴史街道」(PHP)、「歴史法廷」(世界文化社)、「歴史eye」(日本文芸社)で精力的に執筆、活躍し、『うつけ信長』で「第1回歴史群像大賞」を受賞。「面白いほどよくわかる」シリーズ『日本史』『世界史』『戦国史』『古代日本史』はロングセラーとなる(すべて日本文芸社)。他に『明治維新とは何だったのか?』(日本時事評論社)、『本間光丘』(ダイヤモンド社)など著書多数。歴史コメンテーターとして各種テレビ番組にも出演。幅広い知識と広い視野に立った史論が度々話題となる。NPO法人八潮ハーモニー理事長として地域文化活動でも活躍中。行動する歴史作家である。

いま地球規模の「人類史」という観点からも注目され、一方で一般教養、知識としても人気が高い「世界史」。世界規模の歴史を学ぶ上で大切なのは、歴史を流れとして捉えること、歴史にも原因と結果があり「なぜ」そこに至ることになったのか大もとの理由を理解すること、そして見ただけで忘れないようにビジュアルで視覚的覚えること。本書ではさらにアジアや日本の歴史とその役割にも重点を置き、最新の発見や新しい史論を取り入れた、世界史の学び直しにも、入門にも最適な知的好奇心を満足させる1冊。