改革の気分に矛盾する旧制度「第三身分」に充満する不満
アメリカの独立戦争に引き続き、フランスでも世界史上、特筆される重大事件が勃発する。一七八九年、ルイ十六世が行き詰った国家財政の打開を特権身分層に対する新たな課税によって乗り切ろうとしたため、貴族の間で一六一四年以来、招集されなかった「三部会」召集を要求する声が上がったのが始まりだった。
第一身分の聖職者と第二身分の貴族が各三百名、第三身分の市民代表六百名がヴェルサイユに集まったが、評決方法を巡って紛糾。第三身分が「真に国民を代表する者である」と宣言。自ら「国民議会」と名乗りを挙げ、憲法制定まで解散しないと誓う(テニスコートの誓い)。これに対し、ルイ十六世は武力解散を図ったため、パリ市民は決起。市民軍を編成して抵抗し、圧制の象徴とされたバスチーユ監獄を襲撃して占領した。この実力を背後にして、国民議会は「封建身分の廃止」「人権宣言」を採択する。
直ちに取り組んだのが、全国の行政区画の整理、教会財産の没収、ギルド(職人組合)の廃止と経済活動の自由、度量衡の統一であった。封建的領土分割に変わる近代国家に生まれ変わるための手続きであったと理解できる。
だが、激しい勢いで革命が進み、過激派が前面に出て、一七九二年一二月、共和制移行が宣言されるや、ルイ十六世が処刑され、王妃マリ―=アントワネットが処刑されると革命が革命を処刑するようになる。ロベスピエールらジャコバン党が独裁権を掌握し、政敵を次々に断頭台に送るようになったのである。その結果、どうなったのか? 自らも断頭台にて生命を絶たれてしまうのである。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界史』
著:鈴木 旭 日本文芸社刊
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公開日:2023.01.24