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アメリカの奴隷解放の歴史!南北でぶつかる2つの価値観と相違点とは?【世界史】

Text:鈴木 旭

「人民」のための政治に秘められた矛盾と発展の原動力

独立戦争以来、連邦政府は「西部開拓」を奨励し、東部の植民地開拓時代を良く思わない人々を西部の開拓へ送り出した。植民地開拓時代の伝統や規則に縛られない西部は自由の天地として夢と希望を膨らませてくれたからである。もちろん、そこには矛盾があり、まったく問題にされなかったのが先住民、ネイティヴ・アメリカン(いわゆるインディアン)の対応だった。連邦政府が主導する白人による武力討伐が進められるか、詐欺同然の取引で彼らの先祖伝来の土地を奪い取って開拓が進められたのだった。

そうして西部開拓が太平洋岸に到達したとき、今度は新しい問題が表面化する。産業革命が進み、資本主義が浸透したアメリカ北部はイギリスに対抗する必要上、強力な連邦政府と保護貿易が不可欠であった。そして、黒人奴隷制には人道的に反対していた。対する南部は、黒人奴隷を使用せざるを得ない大農場が中心の農業社会であり、奴隷制存続と州独自の自治権保護、自由貿易を要求していた。

南北双方の対立点には妥協の余地がなかった。一八六〇年、北部の利益代表、リンカンが大統領に当選すると翌六一年、南部諸州は連邦国家から離脱し「アメリカ連合国」を結成した。結局、一つの連邦国家が二つに分かれて戦うことになるのであるが、結果は改めて言うまでもなく、北軍勝利、アメリカ合衆国の再建、再統一が成し遂げられたことは知られている通りである。

その際、リンカンがゲティスバーグで犠牲者を偲ぶ追悼演説で述べたのが「人民の、人民による、人民のための政治」という名演説であった。

 

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界史』
著:鈴木 旭 日本文芸社刊

いま地球規模の「人類史」という観点からも注目され、一方で一般教養、知識としても人気が高い「世界史」。世界規模の歴史を学ぶ上で大切なのは、歴史を流れとして捉えること、歴史にも原因と結果があり「なぜ」そこに至ることになったのか大もとの理由を理解すること、そして見ただけで忘れないようにビジュアルで視覚的覚えること。本書ではさらにアジアや日本の歴史とその役割にも重点を置き、最新の発見や新しい史論を取り入れた、世界史の学び直しにも、入門にも最適な知的好奇心を満足させる1冊。

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