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20.東西融合を図るアレクサンダー大王の東征【世界史】

Text:鈴木 旭

インド西部まで広がる大帝国を築きヘレニズム時代の扉を開く。

ポリス主体のギリシアと違って、王政下のマケドニアは前四世紀半ば、フイリッポス二世の時代、国力を増強し、ギリシア全土を浸食し始めた。

内部抗争に明け暮れる個々のポリスを個別撃破しつつ、最終的には前338年、アテネとテーベ同盟軍をカイロネイアの戦いで破り、逆にマケドニアを盟主とするコリント同盟を発足する。そして、ギリシアを支配し、ペルシア遠征に立つところ、フイリッポス二世は没してしまう。

ここで登場するのがアレクサンダー大王である。弱冠二十歳の青年だが、父の遺志を継いで遠征に継ぐ遠征。長槍の重装歩兵密集隊と騎兵隊という強力な軍隊を率いて前330年にはガウガメラの戦いでペルシア軍と激闘を繰り返し、ついにペルシア帝国を滅亡に追い込む。

だが、アレクサンダー大王はインダス川に至り、さらに東征を希望し、インド征服を目論むが、果たせず、帰還の途中、バビロンにて死亡する。遠征に継ぐ遠征の連続で無理がたたり、病にかかったのか、事業半ばにして倒れてしまう。

アレクサンダー大王は、ギリシア人には異民族同様、「バルバロイ」と呼ばれたことを知っていたかどうかはわからないが、自分はギリシア人だと言い、独自の文化観を抱き、広く東西文化の融合を図るヘレニズム文化を伝播(でんぱん)させる役割を果たした。その意味で大王なのである。

 

遠征先の一つであるエジプトをはじめ、各地に二十余ものアレクサンドル市を建設し、ギリシア人に定住を促し、ヘレニズム文化の普及に寄与しているが、それもギリシア人の一人としての振舞いだった。大王死すとも理想は死なず。ギリシアからインダス川の辺まで生き続けたのである。

 

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界史』
著:鈴木 旭 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
昭和22年6月、山形県天童市に生を受ける。法政大学第一文学部中退。地理学、史学専攻。高校が電子工業高校だったためか、理工系的発想で史学を論じる。手始めに佐治芳彦氏と共に「超古代文化論」で縄文文化論を再構成し、独自のピラミッド研究から環太平洋学会に所属して黒又山(秋田県)の総合調査を実施する。以後、環太平洋諸国諸地域を踏査。G・ハンコック氏と共に与那国島(沖縄県)の海底遺跡調査。新発見で話題となる。本業の歴史ノンフイクション作家として、「歴史群像」(学研)創刊に携わって以来、「歴史読本」(新人物往来社)、「歴史街道」(PHP)、「歴史法廷」(世界文化社)、「歴史eye」(日本文芸社)で精力的に執筆、活躍し、『うつけ信長』で「第1回歴史群像大賞」を受賞。「面白いほどよくわかる」シリーズ『日本史』『世界史』『戦国史』『古代日本史』はロングセラーとなる(すべて日本文芸社)。他に『明治維新とは何だったのか?』(日本時事評論社)、『本間光丘』(ダイヤモンド社)など著書多数。歴史コメンテーターとして各種テレビ番組にも出演。幅広い知識と広い視野に立った史論が度々話題となる。NPO法人八潮ハーモニー理事長として地域文化活動でも活躍中。行動する歴史作家である。

いま地球規模の「人類史」という観点からも注目され、一方で一般教養、知識としても人気が高い「世界史」。世界規模の歴史を学ぶ上で大切なのは、歴史を流れとして捉えること、歴史にも原因と結果があり「なぜ」そこに至ることになったのか大もとの理由を理解すること、そして見ただけで忘れないようにビジュアルで視覚的覚えること。本書ではさらにアジアや日本の歴史とその役割にも重点を置き、最新の発見や新しい史論を取り入れた、世界史の学び直しにも、入門にも最適な知的好奇心を満足させる1冊。